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2009-07-15

アテルイ三連発~その2 アテルイ : 中島かずき

 征夷大将軍・坂上田村麻呂と蝦夷の長・アテルイ。二人の英雄が火花を散らす! 実際の舞台は見ていないけど、美男二人がコスプレ的に華麗な衣裳で立ち回る様はかっこ良かっただろうなぁ。

 アテルイが神に呪われた男であり、また大和に対する蝦夷の民という“まつろわぬ者”であるということで、「神-人-鬼」の構図がドラマの中に自然に生きてくる。そして、神にも鬼にも依らず、人としてまっすぐに立つ田村麻呂(姿勢がいいというわけじゃない、という細かいギャグが盛りこまれたり)。

 この芝居、歌舞伎的に仕立て直して、歌舞伎役者が演じる舞台としても見てみたいなぁ。

 男を想う一途さに、魂だけが男のもとへと駆け出してしまう女や、妖しげな術を使う敵役なんてのは、まんま歌舞伎にしてもアリだし、狡賢く立ち回っていた小者やとぼけた剽軽者の、一転して感動的な最期なんてのは歌舞伎役者も得意とするとこだと思う。

 あとは二人のヒーローの対比や、新感線の洒落っけが、どう歌舞伎的に消化されるか。染五郎さん、やって♪

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2009-01-03

怖い絵 : 中野京子

 中学生の頃、兄が貸してくれた新書~タイトルも著者も覚えていないけど、初心者向きの名画案内のようなもので、西洋絵画に隠された意匠、図像学に関することなどが書かれていた。兄は当時ファン・アイクにはまっていた。絵画に関する本を読んで面白いと思ったのはそれが初めてだったと思う。

 それからしばらくして澁澤龍彦の色々の著作で、幻想的だったり、不気味だったり、怖ろしいが興味をそそる絵というのに出合った。

 その他、絵にまつわる書物で最も印象深いのが、久世光彦氏の「怖い絵」。これは、絵そのものというよりも、絵から呼び起こされる記憶、感情、感覚の不気味さ、怖ろしさが、短いお話で語られるというもの。

 久世氏の著作と同タイトルのこの本、こちらは絵そのものの怖さを語る内容。

 見る者に恐怖を与えることを意図して描かれた絵、描き手の意図しないところで怖ろしいものを滲み出させてしまっている絵。何の予備知識を持たずに見ても根源的な恐怖を刺激される絵。描かれた時代背景、描き手の置かれた状況・思想などが分かって初めてじわりと怖さが忍び寄ってくる絵。

 ドガ「エトワール」、ティントレット「受胎告知」、ムンク「思春期」、クノップフ「見捨てられた街」他、ブリューゲル、ゴヤ、ボッティチェリ・・・色々な怖さを持った絵20点。

 隠された怖ろしいものを、指の隙間から見てみたいという好奇心を満たしてくれると同時に、知識と洞察力がなくては、ものを見誤ることがあるということを教えてくれる。

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2008-09-03

マンガに人生を学んで何が悪い? : 夏目房之介

 60~70年代に、それ自身の「思春期」といえる時代を経て人生を語りうる媒体になった日本のマンガ。

 作者と読者の間の共感意識を生む事になった60~70年代の漫画の変化、そこから育っていく「読者・作者共同体」(幻想であるとしても)・・・著者が実体験として感じているこれらのことを、私は実感として理解することができないし、やはりここでも語られる「24年組」の少女漫画家たちの「内面を語る言葉」なんてのも、少女漫画を体験していない私には実はピンとこない。

 ただ、私が、そうやって人生を語りうる大衆娯楽として発展・拡張していった漫画の恩恵をどっぷり浴びて育ったことだけは良くわかる。

 私自身のマンガ体験を振り返ってみて・・・マンガに人生を学んだ覚えなんてちっともないのだけど、「この漫画が あなたを構成する ほんのひとかけらに なれますように」(道原かつみ ジョーカー・シリーズ8 「ファイナル・ミッション」あとがきより)なんて言葉に「ああ・・・」と溜息をついてしまうのは、やはり漫画に側にいてもらいながら大きくなった証拠。

 「教わる」「学ぶ」なんて他人行儀なことじゃなくて、あるときはぴったり寄り添い手に手をとって進む友として、青臭い議論をぶつけ合う仲間として、またあるときはポイポイっと読み捨てられる慰みモノとして、文句も言わず側に居続けてくれた漫画・・・これが夏目氏言うところの、「マンガが大衆娯楽媒体であることの意味」~どんなに凄い影響・感動を読者に与えようとも「『たかがマンガ』といえることの『凄さ』」なんだろう。

 マンガがどういう葛藤、過程を経て読者との関係を築いてきたか、何を描くようになったのかを概論的に語った本書。ここから先もっと深い小道(作家論や作品論など)に踏み込んでいきたくなる。

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2008-07-19

アニメと思春期のこころ : 西村則昭

 10代の頃、漫画やアニメが大好きだった。そして、今でもちょっと好きだ。お笑い芸人や、男前な俳優達が出るTV番組よりも、アニメを見たり、漫画を読んでいる時間の方が圧倒的に多いし、楽しい。

 でも、なぜ私は漫画やアニメに夢中になったのか。そして、なぜ大人になった今でも、数あるエンターテインメントの中で殊に漫画やアニメを好むのか・・・気になって仕方がない。いい大人が、アニメや漫画に夢中になってしまうことには、「べつにいいじゃないか、面白いんだから」という思いとともに、拭いきれない罪悪感と恥ずかしさがつきまとう。だから、漫画やアニメが私にとって何であったのかを理解して、少しでも楽になりたいのだ、私は。

 そんな訳で読んでみたアニメ論。

 映像メディアが大量に消費される現代、それらが人々の心に振るう影響力も大きくなっているのではないか?

 ’90年代に放映され思春期前後の一部少年少女たちを熱狂させた、「セーラームーン」「スレイヤーズ」「エヴァンゲリオン」「機動戦艦ナデシコ」「少女革命ウテナ」といったアニメ作品を読み解きながら、その中でのアニメヒロインたちのあり方~葛藤・成長と思春期の女子の心のありようを重ねて論じたもの。

 他者の欲望をうつして形づくられたお人形であったアニメのヒロインたちが、数々の試練を経験し、自らの心を獲得し、存在を主張するものへと変わっていった’90年代のアニメ。そういった「心」を獲得しようとするアニメヒロインたちは、成長過程の苦しみの中にある思春期の少女たちが、自らを投影する対象となり得た。

 ふむふむと読ませていただいた。といっても、すべての思春期の女の子が自分を投影する対象としてアニメの女の子を必要とするわけでもなく、感想としては、「まぁ、アニメをそういうふうに見ることもできるよね。」といったところか。気になるのは、少女たちが何のためにアニメのヒロインを必要としたか、ではなくて、少女たちが選んだのがなぜアニメのヒロインだったのか・・・というところなんだよなぁ。

 本書では「少女漫画的なものを背景にもつアニメと、それを好む女性」の心理的な関係が主に論じられていたが、ここに書かれたような関係はどうも私にはあてはまらない。私が子供の頃から好んで読んだのは少年漫画であり、少女漫画は私には全くしっくりこなかった。お断りしておくが、10代の頃の私は腐女子目線で少年漫画を読んでいたわけではない。概ね、世の純粋な子供としてキャラクターたちの大活躍をワクワクしながら読んでいたのだ。

 もっと他の角度から眺めたアニメ・漫画論も読んでみないとなぁ・・・と思う。

 男子の心理的成長とアニメの関係とか、心を持たないお人形(見る側の欲望をぶちこむ容器)としてのキャラクターの魅力についてとか、娯楽性を追及したアニメの様式美についてだとか・・・。

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2007-05-16

マリ&フィフィの虐殺ソングブック : 中原昌也

 中原昌也氏の小説(小説なのか?!果たして?)には興味がありつつも、時折目にするその評判から、読んだら嫌~な気分になるんじゃないかなぁという危惧があって、なかなか手が出せないでいた。長い逡巡の末、意を決して読んでみた。


 これは・・・!!! 

 文章と文章の間には脈絡なく、読み取れるストーリーも見つからない。どちらかというと心地良くない言葉の連発。それでも何故か危惧していたような嫌な気分にはならない。むしろ清々した気分すらしてくる。

 完全に一人称の小説(小説なのか?)というのか・・・。個人にとっての事実を正確に、正確に、せ・い・か・く・に書くとこういうことになるのかもしれない。

 いやはやびっくり。 


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2007-05-02

玩具草子 : 長野まゆみ

 飛行機に機関車、自動車といった近代的なものと、ふくら雀、金魚、仔犬といった古典的なものが微妙なバランスで同居した図案。漫画的にデフォルメされた絵柄と、妙にリアルさの残る絵柄の不思議な同居。童心あふれる生き生きした図案なのに色目をおさえた渋い配色。カンバスの布目がみえるような素材感。・・・これは一体何の絵なんだろう? と思っていたら、これらはすべて著者が収集している古裂(こぎれ)・・・大正から昭和初期にかけて主に男児の着物や羽織の図柄になっていたものたちらしい。

 本書では大正・昭和のモダンが感じられる古裂と共に、千代紙や紙せっけん、万華鏡といった、かつての駄菓子屋や雑貨店にあった少女の宝物~愛おしきものたちへのエッセイが収められている。

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2007-03-14

絵画で読む聖書 : 中丸明

 聖書に題材をとった絵画はその美しさや不気味さで心をざわざわさせます。胴体がなく、顔から直接羽を生やして飛び回る天使が描かれた絵などを見ると“な、何なんだこれは!”と嬉しくなってしまいます。

 実は宗教画の紹介・解釈を主眼としたものを期待してこの本を購入したのですが、内容はちょっと違って、宗教画を挿絵のように使いつつ、旧約から新約につづく聖書の世界を読み解いたものでした。

 こういう風にいうと硬い本のようなのですが、さにあらず。なぜか聖書の登場人物はみゃーみゃーと名古屋弁を操り大騒ぎを演じ、著者はえらく砕けた言葉で、旧約の部分では神=エホバの自己中ぶりや、ユダヤの民の考えてみれば理屈にあわないことだらけの行動につっこみを入れていきます。聖書の記述に納得できないものを感じる多くの人には“わが意を得たり!”といったところではないでしょうか。

 旧約の部分では、その荒唐無稽さに対するつっこみが目立った本書ですが、話が新約にさしかかってくると、著者のくだけた物言いは読者の興味をひく為の方便で、その底では宗教としてのキリスト教と真剣に向き合い格闘しているのが見えてくるような気がします。

 宗教的にではなく、学問的に「聖書」とか「キリスト教」を取り扱っているかに見える本書ですが、イエス・キリスト個人には著者は宗教的な関心を深く持っているように感じました。

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