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2023-12-09

あの日、松の廊下で : 白蔵盈太

『あの日、松の廊下で』 白蔵盈太

 主人公は、あの日、松の廊下で吉良上野介に斬りかかった浅野内匠頭を「殿中でござる」と抱きとめた梶川与惣兵衛。

 朝廷からの勅使饗応という年に一度の大イベントに向けて動き出した江戸幕府。高い教養と私心のない高潔な人柄で質の高い仕事をする吉良上野介と勅使饗応の経験者でもあり情に厚く面倒見の良い浅野内匠頭の二人がいれば、今年の勅使饗応はすんなり上手くいくと思われた。それがなぜ、あのような結果に終わってしまったのか。梶川与惣兵衛は運命のあの日に至る数か月の時を振り返る。

 与惣兵衛が振り返る日々の中には、遂には死者を出してしまうほどに健全な機能を失ったダメな組織の有り様が浮かびあがる。現場の状況とは乖離した正論を吐く上の方の人。責任とりたくない責任者。無能だがプライドは高い上司。トラブル予測と問題解決能力に難のある現場担当者。頑張りどころがずれてる作業スタッフ。すれ違いつづけるコミュニケーション。

 「いったい、自分はどこで間違ったのでしょうか」 尊敬し敬愛する二人を亡くし、与惣兵衛は「あの日」の日記を抱きしめて泣く。

 
 時代ごとに人の心を映して語られてきた『忠臣蔵』の物語。これは、今の時代に組織の中で日々心身を削りながら、それでも最良の結果を求めて健気に働く平凡で善良な人々の為の『忠臣蔵』。
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theme : 読書メモ
genre : 本・雑誌

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