2007-06-02

あふれた愛 : 天童荒太

 知らず知らずのうちに追い込まれ、押しつぶされ、自覚できないままに傷を負ってしまった人たち。見つめることのできなかった自分の傷を認め、回復していこうとする姿を描いた四篇。

 暴力や悪意によってではなく、それぞれの心の器に抱えきることができず溢れてしまった想いで周囲の人を傷つけ、自らも傷ついてしまう人たち。期待であったり、思いやりであったり、大切なものへの愛であったり・・・自分と相手の気持ちを量りうまくバランスを取っていくのは、相手が大切な人であるほど難しい。

 感情移入というほどではないが、話の中にはすぅ~っと入っていくことができた。でも読んでいる間中、頭のどこかでさめたものを感じている。

 誰しも実体験のなかで色んな形の傷を負っていて、それぞれ意識的にしろ無意識のうちにしろ、自分なりのやり方でその傷と付き合ってきてる。こういうことは大概、非常に個人的な体験なので、たとえ優れた小説だったとしても、その小説の世界が自分の中に流れ込んでくるのはありがたいことではない。読みながら自分の内面を小説の世界に投影させることもしたくない。そんな気持ちがあったので、ついさめた目で読んでしまったのかも知れない。

 傷を負った人が、その傷を理解して癒していくということは大切なことだと思うけども、そういう話が小説として流通して・・・それを読んだ人が自分の傷のことを想う・・・っていうことがあるのだとしたら、何か違和感を感じずにはいられない。

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