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2019-12-14

謎手本忠臣蔵 : 加藤廣

『謎手本忠臣蔵』 加藤廣

 赤穂浪士の吉良邸討入りの裏には「ある筋」の思惑が動いていた。

 討入り計画の最初から最後まで、その裏に潜み動いていたにもかかわらず、大石初め赤穂の浪人たちにも、また世間にも覚られることのなかったその秘められた思惑を「謎手本」と洒落て、『忠臣蔵』の物語の様相を書き換えようとした作品なのだろうが・・・。そんな作者の作意&作為が見えてしまって物語としては弱い。

 「謎」のネタとして投入された「幕府と朝廷間の確執」とか「福島正則が秘蔵したといわれる家康の密書」についても十分に描き切れておらず、『忠臣蔵』を書き換えるどころか、庶民が愛する従来の『忠臣蔵』の物語を御しきれず呑み込まれてしまっているように見える(その「庶民の愛する『忠臣蔵』こそ、作中の“ある筋”の意図によるもの・・・といいたいようだが)。

 また、内蔵助たちのあまりに現代的な口調はおいておくとしても、明々快々と開陳される登場人物たちの思考や言動ばかりを連ねてドラマを展開する語り口には時代味がなく、巨大権力 vs. 窮地に立った中小企業!的な企業小説でも読んでいるような気分になる。

 『忠臣蔵』を書き換えようというなら、それなりの圧力のある物語を読みたかった。


  

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genre : 本・雑誌

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