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2018-10-06

科学するブッダ 犀の角たち : 佐々木閑

『科学するブッダ 犀の角たち』 佐々木閑

 科学と仏教学の両方を修めた著者が、科学と仏教それぞれが究めようとする世界と、その関連性、親和性を説く。

 第一章~三章で物理学、進化論、数学が進んできた道とこの先の展望に触れ、第四章で絶対的な超越者の存在を想定せず、自己の努力のみで真理に到ることを目標とする仏教~その成立と特徴、科学との親近性を語る。第五章では時代が進むにつれ多様化し広まっていった大乗仏教について。

 物質世界の真理を探究する科学の進歩が世界観の更新をくりかえし、いま明らかにしつつあるのはどういう世界なのか? 釈尊が説いた最初期の仏教は、科学がその進歩の過程で決別してきた「神=絶対的超越者」の存在を前提としない宗教であったこと。それぞれに世界の法則性を明らかにしようとする人間活動である科学と仏教の共通性について。将来、科学と仏教の間に接点が生まれるとしたら、それはどのようなものである可能性があるか。・・・等々。

 科学にしろ仏教にしろ、足を踏み込むには膨大な脳の容量ととんでもなくタフな思考力が必要だろうに、その両方に一度に触れようだなんて・・・。“一度読んだくらいじゃ到底理解できるようなものじゃないだろうな”と覚悟して読み始めたのだが、意外や、著者自身が「科学を語る上では禁じ手」という例え話を随所に織り込んだ平易な語り口で、全くの素人でも「何となく解ったような気持ち」にさせてくれる。

 ただ、「何となく解ったような気持ち」ってことは一方に「多分、全然解ってないな、私。」って思う気持ちもあるわけで、一つ一つ事実を積み重ねるような緻密な論考を展開するのではなく、ポイントだけをまとめ、例え話で一気にカタをつけてしまう語り口には「科学にせよ、仏教にせよ解説のしようが大づかみすぎるのではないかな」とか「果たしてその例え話は事の本質をしっかり押さえた例え話なのだろうか?」・・・なんて、素人なだけに自分の疑問が妥当な疑問なのかどうかもよくわからないモヤッと感も残る。

 あとがきの中に著者の『最初期の釈尊の仏教を知れば知るほど、科学がなつかしく思えてくる。』『仏教研究の中に、科学のデジャビュを見る。』という言葉がある。カバーの紹介文には「科学と仏教。 ~中略~ 両者が向かう先を徹底した論理で探究。」とあるが、本書は論理的というよりむしろ、科学者に憧れ科学者への道も歩んでいた仏教学者である著者の情緒的なものが濃く滲んだ一冊ではないかと思う。




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