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2017-12-16

仮名手本忠臣蔵を読む : 服部幸雄 編

『仮名手本忠臣蔵を読む (歴史と古典)』 服部幸雄 編

 籠城か、殉死か、仇討か・・・。殿中での刃傷事件により主君は切腹、お家は断絶。今後の出方を決めるべく城内で開かれる評定の場でのドラマは、急進派の面々となかなか本心を明かさない大石内蔵助、また別の思惑を抱くものたちの駆け引きがスリリングな「忠臣蔵」序盤の名場面だが・・・

 城開け渡しのドラマは「忠臣蔵」の世界でオリジナルに発生したものではなく、幕府に対して籠城し抵抗する姿勢を示した後、しかるべき手順を踏んで開城というフォーマットは、安芸福島家の改易の際の対応をはじめとして他の大名家改易の際にもみられる一種の作法として、当時の武家社会にすでに用意されていたという。

 言われてみればさもありなんという納得の事柄なのだが、「忠臣蔵」の美しいドラマに夢中になるあまりすっかり盲点となって気づかなかった事実。

 赤穂事件の約半世紀後に生まれ現代にいたるまで親しまれている『仮名手本忠臣蔵』と、その他「忠臣蔵」を題材とした作品をそれぞれの時代や社会との関係の中で読む。

 「することなすこと、いすかの嘴ほど違うというも・・・」皮肉な運命に翻弄される若者の苦悩を描いた並木宗輔の心性。『仮名手本忠臣蔵』の世界を相対化、あるいは反転させてみせた四世鶴屋南北の時代性とその手腕。「忠臣蔵」に自分のための、あるいは時代を映した物語を託した作者たちの息づかいも生々しい。

 史実と虚構をないまぜにし、さまざまに派生、分裂、変貌、増殖する作品で人の心を惹きつけながら江戸時代から今日までひろがりつづけている巨大な「忠臣蔵」沼のありさまを窺う助けとなる論考集。



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