2017-04-08

ちくま日本文学7 江戸川乱歩

『ちくま日本文学7 江戸川乱歩』

 「火星の運河」という奇妙な小説があることを見聞きしたことがあったのだが未読であったので読んでみた。(が、もしかしたら以前読んだことがあったのかもしれない。)思わせぶりな書き出しと、ラストの視界を覆い尽くしていく女の顔というのは、目眩のするような歪んだ乱歩世界の香り充分なのだが、作品自体としてはちょっと拍子抜けだったか・・・。てっきり乱歩の妄想世界がついに宇宙にまで達したのかと思っていたので・・・。

 目当ての「火星の運河」はほんの数ページの短編だったので、「白昼夢」「百面相役者」「屋根裏の散歩者」「鏡地獄」「押絵と旅する男」・・・これまで何度も読んだことのある他作品も改めて読む。そしてどれも別世界の魅惑に満ちていることに少し若い頃を思い出す。

 生暖かい春の日の白昼夢の中に、友人にかつがれて信じた嘘の中に、常とは違う場所から眺める日常の中に、球体の鏡の内側に、遠眼鏡で覗き込んだのぞきからくりの中に・・・退屈で色のない自分のいるべき世界とも思えない現実の他に、極彩色の彩りをもって息づくもう一つの世界があるのだとしたら・・・。日々の生活にすっかり馴染んでしまった今の私でさえ、すこし心にさざ波がたつのを感じるのだから、「うつし世は夢」と思い暮らす人たちはどんなに胸をかきむしられる思いのすることだろう。

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