2017-03-12

虎よ、虎よ! : アルフレッド・ベスター

『虎よ、虎よ!』 アルフレッド・ベスター

 遭難した宇宙船の残骸にただ一人残され6か月の漂流生活を生き延びた男は、自分が見棄てられたと知ったとき、恐るべき復讐鬼となって地球に舞い戻る。

 人類がジョウントと呼ばれるテレポーテーション能力を身につけ、内惑星連合と外衛星同盟が抗争をくりひろげる宇宙を舞台に、「不死身かっ?!」といいいたくなるような超人的な力と執念を滾らせた主人公・フォイルが、軍諜報部や大財閥の総帥ら世界を動かす実力者たちを相手に復讐街道を驀進する。

 「いや、もう何か逆に目的見失っていませんか?」とツッコみたくなるほど破綻ギリギリで激情的で破壊の度がすぎるフォイルの行動と、暴走気味に溢れ出すストーリーの熱量に「あぁ、しんど・・・」と思いながら読み進めていたのだが、復讐と破壊のためにバルブ壊れ気味に放出されつづけたエネルギーは、物語終盤において人類を覚醒させ、世界に新たな局面をもたらす爆発的な力へと一気に収束していく。

 物語中盤まで無茶苦茶に暴れまわっていた主人公とストーリーが、気がつくと何だか啓蒙的なラストへとなだれ込んでいたのにはちょっと面喰ったが、何といっても、ただただ、その熱量の物凄さに圧倒される作品だった。


【蛇足】
タイトルの『Tiger! Tiger!』はイギリスの詩人ウィリアム・ブレイクの詩からとられているが、私の大学卒論の題材がこの「Tiger」を含むブレイクの詩集『Songs of Innocence and Songs of Experience』だった。(まったくやる気のなかった私は、よく卒業させてもらえたもんだと我ながら思うほどの、とんでもなくつまらない卒論を提出したのだが・・・。無事卒業させてもらえたのは、きっと教授もやる気なかったからなんだ。)
この小説を読んで、純粋なエネルギー体としての虎の美しさっていうのを何だか感じて、今さらながらブレイクの詩に湛えられていた燃えるようなエネルギーだとか美しさってのを思ったのだった。

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