2017-01-28

戦闘妖精・雪風(改) : 神林長平

『戦闘妖精・雪風(改)』 : 神林長平

 森博嗣の『スカイ・クロラ』シリーズを読んだときに、なんだかセットのようにそのタイトルを目にすることが多かった『戦闘妖精・雪風』。気になっていた作品をやっと読むことができた。

 本当に「敵」なのかどうかすら定かでない正体の曖昧な「敵」と闘うため戦闘機と一体になって飛ぶものたちの物語・・・という点は確かに『スカイ・クロラ』シリーズと共通しているけれども、理解されることを拒み、空を飛ぶこと以外のものを削ぎ落とし、どんどん軽く、純粋に研ぎ澄まされていくかのような〝大人にならず永遠を生きるキルドレ(子供)”と、雪風のパイロットである深井零中尉の在り方は随分違う。深井中尉は自分の孤独をぴったりと埋めてくれるもの、魂の片割れを人間ではなく戦闘機に見出したというだけで、その存在はとても人間的だ。人間相手では自分の孤独は満たされないのだとダダをこねつづけているようにも見える深井中尉はある意味大人になれない永遠の子供だともいえるが。

 計算能力や運動能力だけでなく知性や感情、勘といったものまで、あらゆるスペックにおいて機械が人間を上回るようになったとき、人間性や人間そのものの存在意義はどこにあるのか。人間よりも機械とのコミュニケーションの方が得意で心地よいと感じる人間はザラにいる。

 物語を読んでいる最中も、作中のジャーナリスト・リン・ジャクスン女史のように言葉のすべてに自分の感情をのせてくるような人間よりも、理性的で合理的な機械の方がクールでいいと思う瞬間がある。まぁ、ここで言ってる「理性的」とか「合理的」ってのは人間である私が思う「理性的」や「合理的」であって、機械にとっての「理性的」「合理的」はまたまったく様相が違うのかもしれないけど・・・。

 機械との共存なくしては社会がなりたたない、人間の肩代わりを機械が人間以上にやってのけるという状況を人間自身が作り出している中で、それが意味のあることなのかどうかはわからないが・・・「人間という存在を思うことができるのは人間だけだ」と物語は訴えかけてくるようだ。



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