2016-06-25

修善寺物語 : 岡本綺堂

修善寺物語 : 岡本綺堂

 もう随分昔の話・・・多分、私が中学か高校生だった頃、皇なつきさんの漫画で『修善寺物語』を初めて読み、あまりにドラマティックであまりに美しいその物語にたいそう心をゆさぶられ、ぜひとも原作を読みたいと思ったのだ。(「岡本綺堂」という作者の名前もとても幽婉なものに見え、魅惑的だった。)

 今のようにネットで手軽に本を探すことのできない当時のこと、市内の大きな書店に行って「岡本綺堂の『修善寺物語』はありますか?」とたずねてみたのだけど、絶版となっていたようで取り寄せなどでも入手できず、そのまま何年も経ってしまった。

 十年ほど前、神田の古本屋めぐりをした際に函入りの旺文社文庫版を入手。昭和42年発行、当時の定価120円。(購入価格は900円)

 一幕三場の戯曲。それほど長いものではないけれど、その中に面打ちの名人・夜叉王の尋常ではない己の技への執着ぶり、鎌倉の二代将軍・頼家の悲劇、頼家と夜叉王の娘・桂の恋などがぎゅうと凝縮されています。

 特に夜叉王の娘・桂がとても魅力的。一場では、職人としての生活に埋もれようとしている妹・楓やその婿・晴彦を蔑み、自分は貴人の側に仕える事を夢見る上昇志向の強い鼻持ちならない女という印象が強いのだけど、念願かなって将軍頼家に仕えることとなった後の二場では、静かな宵の風景の中で二人が心を通わせる気配が描かれ、その後三場の悲劇へとなだれこむ。

 何度打っても死相が現れる頼家の面。

 北条によって夜襲をかけられる頼家の館。

 頼家の面をつけ身代わりをつとめる武者姿の桂。

 娘の断末魔の顔を手本に写す夜叉王。

 一場・二場を受けて劇的に展開する三場は読み応えあります。今度は芝居で見たい。


 

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