2016-06-11

岡本綺堂読物集(一) 三浦老人昔話 : 岡本綺堂

『三浦老人昔話 岡本綺堂読物集(一)』 岡本綺堂

 私が子供の頃には「世界最長寿の男性」泉重千代さんがまだご存命でいらして、テレビに映る彼の人を見ながら「江戸時代の人が生きている・・・」と思うと、子供心に「歴史」と「日常」、「現実」と「昔話」の境がゆらぐような不思議な感じがしたものだ。(しかし、今では重千代さんはもう少し後の生まれではないかという説が有力であるらしい。)

 江戸の残り香の薄れゆく中、三浦老人が明治の若者である「わたし」に語って聞かせる「昔話」もまた、「歴史」と「日常」、「現実」と「幻想」の境に揺蕩いつづけているものであるような気がする。その「昔話」からは目の前の現実の生々しさは拭い去られ、哀しみも、残酷さも、恐ろしさも、可笑しみも、洗い晒したようにさらりとしているが、江戸を生きた老人のある生活感の中で語られる話には、どれだけ時が過ぎようと消えることのない生きた人の感触のようなものがある。その感触はいつも「歴史」と「日常」、「現実」と「幻想」の狭間にあって、ふとした隙に私たちの肌をなでていくのではないか。




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