2016-01-23

海峡―この水の無明の真秀ろば : 赤江瀑

『海峡―この水の無明の真秀ろば』 赤江瀑

 海峡-陸と陸を隔てる潮の流れ。往来する人の渡る通り道であると同時に全くの異界でもある海の世界。こちら側とあちら側を分けて流れる水。

 海峡の町に暮らした赤江氏が幻視する「海峡」の姿。「海峡」のもたらす様々な想念や妖しく人を誘い込む幻の光景の断片。

 赤江氏の小説は魔的なもの、逢魔の感覚に満ちている。その魔の精髄、その在り処が赤江氏には「海峡」として目にうつり、耳に聞こえるのだろうか。

 夜、無人の磯を歩くと海峡が得体のしれない生き物の気配を帯び、指先にその搏動を伝える肉体を持ったと感じる瞬間があるという。

 その(海峡の)肉体の一端にわたしもわが肉体の一端で直接触れていると感じるこの奇妙な現実下の一刹那は、不意の感応現象がもたらす理解であるだけに、常ならぬ、怪奇なる昂奮を呼び起こす。

 流れる水が肉体を持ったと感じる一刹那は深夜の磯の無人の時間と闇が与えてくれるほんのわずかな間に消える神秘な幻想体験にすぎないけれども、わが人体とは異なった怪奇なる生体と肌を接しているという鮮やかな自覚はしばらく消えない。


 赤江氏自身の逢魔の体験を生々しく感じさせる文章である。

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