2015-08-01

新しい生物学の教科書 : 池田清彦

『新しい生物学の教科書』 池田清彦

 この夏は理系本を読もうと思う。と、いうのも、先日読んだ『屍者の帝国』について、「私には読めなかった部分がある」という感覚が拭えないでいるからなのだが・・・。ひととおり読み通して内容も楽しんだ・・・にもかかわらず、「読めなかった」~私が理解できる言語に翻訳できなかった部分があるような気がしてならない。

 この感覚・・・昔、職にあぶれて文系出身のなんちゃってプログラマをやってた頃に味わったアレと似ている。同じ機械語を使っているにもかかわらず、私の書いた日本語の文章に直訳可能なプログラムとは記述の仕方がまったく違う先輩の書いたプログラムが私には読めなかったっていう、あの感覚・・・。

 『屍者の帝国』は日本語で書かれた小説だったし、記されている文章は全部読んだ。それでもどうしても「充分に読めた」という気しないのは、あの小説、私が使っているのと同じ日本語で書かれていながら、どっか決定的に記述法が違うからなんじゃないか・・・? 作中に登場する『ヴィクターの手記』ほど極端なものでないにしても、読み方によって書物から取り出される情報が様々に変化するということがあるのなら、私が普段している日本語の読み方とは別の読み方をしなくちゃいけない。そのために必要なのは、ひとつには理系的なセンス、知識、考え方なんじゃないかと・・・。

 ・・・というわけで、この夏チャレンジする理系本1冊目は、齋藤孝『文系のための理系読書術』を読んだときから興味のあった池田清彦『新しい生物学の教科書』。もう10年以上前に発行されたものだから、決して新しくはないのだろうけど。

 『これ一冊読めば現代生物学の諸領域がほぼわかる』・・・とは言え、雑誌連載時のタイトルが『教科書にない「生物学」』であったということは、読者は高校の教科書レベルの知識は持っているということが前提となっており、文章は平易であるものの教科書レベルの常識である用語や事柄についての説明は省かれているため、「遺伝子」「染色体」「DNA」という言葉の定義さえ覚束ない私にはかなり難しい。

 著者は構造主義生物学を主張する立場から現時点(発行時時点)での生物学の領域で明らかになっていること、議論されていること、不明なことについて書いている。本書から学問的な刺激を受けられるほど私の知識や興味は熟していなかったけれども、「今いる人間はネアンデルタール人から進化したわけじゃないんだ!」っていうレベルで、私のすごく曖昧で古い聞きかじりの知識を訂正するくらいのことはできたのかも・・・。(それにしても現生人類とは別系統の人類っていうのは何で生き残らなかったんだろう?)

 その他、遺伝子は遺伝という現象のごく一部を占めるものでしかない、とか、自然選択とは進化の原因ではなくむしろ結果であるかもしれないとか、「死」を運命づけられているのは地球上の生物のごく一部だけだとか・・・驚くべき話は色々とあった。

 『死は進化の過程によって生じたと思われますか』という『屍者の帝国』でのアレクセイ・カラマーゾフの台詞は突飛な妄想でも、ロマンティックな感傷でもなかったのか・・・。




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