2015-06-06

マンガと音楽の甘い関係 : 高野麻衣

『マンガと音楽の甘い関係』 高野麻衣

 楽しく読めるごく軽めの読み物のつもりで手に取ったのに、読み始めて数ページでけっこうキツイ敗北感を味わうことになった。

 それは「序章」で語られる『きのう何食べた?』がらみのエピソード。6巻で「冴羽獠ファン」であることを告白する興奮気味のケンジを眺めながら、著者はそれを以前から「知っていたよ」という。なぜなら3巻で流れるシロさんからの着信音が『Get Wild』だったから。

 ・・・確かに私もあのコマを見ながら「ケンちゃんはシロさんからの着信音を『Get Wild』に設定してるんだな」と思った。『Get Wild』がアニメ『CITY HUNTER』の主題歌だということも知っていた。でも、そこから「冴羽獠ファン」というケンちゃんのバックグラウンドに思い至るほどの読み込みはしていなかった。

 こんな調子で、マンガの読み手や音楽の聴き手としてのリテラシーの差を思い知らされる場面がいくつかある。『銀魂』の銀さんが「音楽を聴かない」人であることの意味とか、『のだめカンタービレ』~ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」の演奏シーンで「千秋のモノローグ」は曲のどの部分で発せられたのか、とか・・・。私は『銀魂』も『のだめ』も読んだことないのだけど、たとえ読んでいたとしても、マンガの中で鳴る「音楽」をどれだけキャッチし、マンガに描かれた「音楽」からどれだけの「物語」を感受することができただろう?

 「少女マンガ」によってかきたてられるときめき、あこがれ、知識欲・・・そういったことが繰り返し本書の中で語られているのを目にすると、あらためて私って「少女マンガ」という<教養>を身につけてこなかったんだなぁと思う。

 著者が言うとおり「美しいものから愛される自分でいたい。なにより美しく生きたい---」そういう気持ちを私もマンガから学んだ。でも、私がその多くを学んだのは「少年マンガ(主にジャンプ)」からであり、憧れは「美しく」というより「正しく、強く」というところに向かったんだよなぁ・・・。やはりそこで養われる感性は、「少女マンガ」で育まれるものとは違う・・・よなぁ、多分。



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