2015-04-18

高杉晋作の手紙 : 一坂太郎

『高杉晋作の手紙』 一坂太郎

 晋作の遺した書簡の中から『晋作の生涯を語るさい避けて通れない手紙、人柄をよく伝える手紙、時代を象徴する手紙など』百通を収録。多少読みやすく整理はされているのでしょうが、返り点が振られているだけで書き下し文にはなっていないので、高校時代の漢文の授業を思い出しながら四苦八苦して読む。現代語訳もついていないので、読めない部分は適当に想像で補いながら読み飛ばすしかないのだが、なまじ現代語に訳してあるよりも晋作の生に近い言葉を読んでいる気になれて良い。

 晋作の評伝や小説の中で目にしてきた『僕一つ之愚父を持ち居』『拙者は御割拠も真之御割拠が得意也~うはの進発は聞も腹が立なり』の一文を、書簡の中で晋作自身の言葉として読む生々しさ。『弟事は死でも乍恐天満宮の如く相成、赤間関之鎮守と相成候志に御座候』~死を覚悟して書いたのであろう大庭伝七宛ての手紙の鬼気迫る感じ。死んだら墓前に芸妓を集め三絃でも鳴らしてくれという軽口がまた何とも涙ぐましくて。

 認められているのはいつも忠義のこと。ころころと変わる藩の態度に幾度も辛酸を嘗め、命の危険にさらされてまでも変わらなかった藩と、藩主・世子両殿への忠誠心は健気というか可憐というか・・・

 自負心の強そうな晋作のこと、久坂玄瑞などにはライバル心剥き出しな言葉を書き送ってりしているのではないかと思っていたが、自己主張はするものの、同志を敬い、立て、自身はずいぶん遜っている様子。武士のマナーとしてそのようにしているのかもしれないが。

 著者の言うように桂小五郎にあてた手紙などは甘えているとも思えるようなフシが見て取れる。誤解されることの多かったであろう晋作だが、これと思う人物には自分を認めてほしいという気持ちも強かったのかもしれない。根本のところではけっこうな甘えったれだったのかもしれないなぁと思う。

 そう思ってみると、妻マサに宛てた手紙で繰り返し武士の妻としてのありようを説いているのも、何も堅苦しい訓戒ではなくて、自分の誇りを託せる妻への信頼と愛情の言葉であると同時に、自分のことを理解してほしい、自分の思うような妻であってほしいという甘えであるような気もして・・・。



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