2015-04-11

幻色のぞき窓 : 山本タカト

『幻色のぞき窓』 山本タカト

 初めて目にしたのは何時、何処でだったのか・・・山本タカト氏の妖艶で仄暗い絵に惹かれている。

 ・・・惹かれている、のだけど、日々何事もなく過ごすことを第一に考え、まがりなりにも陽光の下で平穏に平凡に暮らしている私如きが、「山本タカトの絵が好きだ」などと言うのは憚られる気がして、これまで画集を買うことを躊躇ってきた。それでもやはり憧れは止み難く、「これは画集ではなくて、半分はエッセイだし・・・」と自分にもよくわからない言い訳をしつつ、初めて山本タカト氏の本を購入した。

 氏の住まう鎌倉の風景やそこに二重写しにたちのぼる幻視の光景、吸血鬼や両性具有、髑髏、球体関節人形などへの嗜好を語る言葉は衒いなく静かで何気ない。吸血鬼や髑髏や少女人形・・・そういうものたちのことを「好き」と言って良いのは、このように気負うことも身構えることもなくそれを口にできる人たちだけなのだ・・・と思う。

 以前から、薄目を開けた睫毛の間に様々なものを見てきた。


 いちばん羨ましく思うのは、この「様々なものを見てしまう目」である。

 自然の生命力を感じさせる複雑怪奇な形で生い繁る森の木々、海の向こうや山の端から射す日の光の粒、海岸に打ち上げられた海藻類、鳥や魚の死骸、骨片、薄暗いトンネル、夜の闇・・・現実の鎌倉の風景の先に、氏の目にはこの世ならぬものたちの姿がありありと見えるのだろう。

 もしも、そのような「目」をもらう取り引きができるのなら・・・と想像してみるが・・・、何事も起こらない平穏と平凡から抜け出すのが恐い私には、その取り引きに乗る意気地はないだろうと思う。



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