2015-03-14

日本〈聖女〉論序説  斎宮・女神・中将姫 : 田中貴子

『日本〈聖女〉論序説 斎宮・女神・中将姫』 田中貴子

 女性に備わった生命を産む力ゆえに女性を神秘な存在であるとする見方、聖性や神秘性は女性に本来的に備わったものであるという考え方に疑問を呈す。

 聖女たちの「聖性」は女性が本来的に持つものではなく、あくまでも社会的、文化的要請によって女性に付与されていったものであるという考えのもと、女性薬「中将湯」にその名を残す中将姫の物語、天皇家と神を結ぶ斎宮たちや、中世の苦悩する女神たちの物語を読み解く。

 物語の中で中将姫が女性ゆえの苦悩を負わされていく過程、天皇家を神を結ぶものである斎宮たちのありかたが時代によって変化していく様子、苦悩する神がなぜ女の神として現れるのかなどを検証しながら、社会的、文化的枠組みのなかで物語の語り手、また物語を受容した人々が「女性」に注いだ視線がいかなるものであるかを明らかにしていく。

 
 この論考中一番の不思議は、最初の数ページ目にあらわれる、少女の頃の著者が(ツムラの)バスクリンを使った風呂に入りながら、母と会話をするくだり。「(ツムラの)中将湯って何」という著者の問いに母がこたえた「血の道の薬」という言葉に幼い著者が感じたショック。

 「聖性」や「神秘性」が社会的・文化的枠組みの中で女性に付与されたものであるなら、それらと表裏一体の関係にあるような女性の「悪業」「けがれ」といったものも文化的な産物であると考えることもできると思うのだが・・・。だとすると、「血の道」といわれてもわけのわからない子供であった著者が感じた『頬に赤黒いものをべたりとなすりつけられたような不快感と、自分とまったくかかわりのない言葉ではないという、漠然とした恐怖』とは何だったのか。



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