2015-02-21

梅の花咲く―決断の人・高杉晋作 : 田中秀征

『梅の花咲く―決断の人・高杉晋作』 田中秀征

 梅の咲く季節になりました。まだ厳しい寒さの中、他に先駆けて芳しく凛と咲き、暖かな春を待たずに散る~高杉晋作が好んだという梅の花は、彼自身のイメージにぴったりとはまる。タイトル買いしたこの小説、タイトル通りの芳しい梅の香りを期待したのだが・・・。

 とにかく読みやすい。滑るようにすらすらと読める。読んでいて爽快でもある。作者は本職の小説家ではないとのことだけど、とても文章の上手い方なんだと思う。ただ、小説としては「無臭」だった。読んでいて気持ちが波立つような「匂い」がない。味気ないともいう。

 長州の藩論を一転させた「功山寺決起」から討幕へと向かう藩体制づくり、そして第二次征長軍を迎え撃っての「四境戦争」~高杉晋作が為した大きな歴史的事業を通して、時代を読み、的確に舵をきる「指導者」としての高杉晋作が描かれる。確かにこの時期、指導者として晋作が為したこと、下した決断は後の歴史に大きな意義を持ったのだけども・・・。

 高杉晋作の人物像が「指導者」「政治家」という側面からしかとらえられていなくて、「鼻輪のない離れ牛」という評判さえ「独立の気概」といった指導者の資質としてのみ解釈されてしまっては、あまりに色気がない。「無頼」「暴狂」「狂暴頑愚」そんな無茶苦茶、やぶれかぶれの中に鮮やかに遺した新しい時代への事跡、妻や愛人に時折見せるデリカシーが、晋作の何ともたまらんところであるのに・・・。

 作中、野村望東尼の平尾山荘に匿われて過ごした数日が後の晋作にとって意義の多いものとして書かれている。平尾といば、ちょいと行ける場所でもあるので、一度行ってみなくてはと思っているのだけど、晋作の辞世を台無しにしてしまった(と思う)野村望東のことが好きになれなくて、なかなか足が向かない。



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genre : 本・雑誌

tag : 高杉晋作

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