2014-11-01

柴錬立川文庫 : 柴田錬三郎

『柴錬立川文庫』 柴田錬三郎

 せっかくだから、も少し真田モノを読もう。続いては幸村の下で猿飛佐助に霧隠才蔵、三好清海入道らが活躍する『柴錬立川文庫』を。

 「猿飛佐助」「淀君」「真田大助」「後藤又兵衛」「木村重成」「山田長政」等のタイトルで語られる小話がつながり、モザイク画のように「大坂の陣」に至るドラマが描かれていく。

 霧隠才蔵や三好青海の、主に忠誠を尽くすなんてのには程遠い自己主張の激しいはねっかえりぶりが愉快。大坂城中の女を夢中にさせたという幸村の美丈夫ぶりや、古今に冠絶という木村重成の秀麗な容姿、異国人である才蔵の蒼い瞳に、三好青海のこれまたきれいに整った顔。忍、荒武者、兵法家たちの死闘、激闘に、裏の裏をかく化かし合い、多少悪趣味なエロティシズム。劇画的な面白さ満載の上に、話と話の隙間にさらに妄想をたくましくする余地もありそうで楽しい。

 ひとクセもふたクセもある猛者たち~真田十勇士を従える幸村はしかし、智謀に長け、鬼神の如き戦いぶりを見せる名将というよりも、戦の行く末、世のなりゆきを冷たい目で見つめる虚無的な男で・・・。

 この虚無的な幸村と、心優しく善良な気性の佐助というとりあわせが絶妙で、絶対に明るい結末には向かわないドラマの中で、さらさらとした佐助の明るさが無性に切なくなります。人を殺すことを嫌う佐助が大坂夏の陣の激戦の中で何十もの人を斬ってめずらしく興奮の面持ち・・・という、ほんの数行の描写は切なさの極み!


 ところで、私は子供の頃、この『柴錬立川文庫』を原作としたNHKの人形劇『真田十勇士』をけっこう楽しみに見ていたらしい。「山川草木敵味方~」「空は輝く南無八幡」等、小児のボキャブラリーには無いはずの主題歌の歌詞を部分的に覚えている。ストーリーの方はほとんど記憶にないのだけど、なぜか幸村の嫁選びのエピソードだけは良く覚えている(といっても、これが本当に『真田十勇士』の記憶なのかどうかビミョウなんだけど)。

 花嫁候補として集まった女たちに「笑ってみせろ」という幸村。一人は面白くもないのに笑えぬと言い、一人は咲きこぼれる花のように艶やかに笑い、もう一人は上手く笑えず涙を浮かべながらも健気に笑顔をつくってみせる。幸村は華やかに笑ってみせた美女に心惹かれながらも、一生懸命笑顔を作ったあまり美しくない女を妻に選ぶ。
 
 このエピソードを見て私は子供ながらに「幸村ってすごく嫌な男だ」と思ったのだった。男に対する嗅覚は子供の頃の方が今よりも確かだったかもしれない。




 ここでも、やっぱり後藤又兵衛はかっこ良かった。

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genre : 本・雑誌

tag : 真田幸村

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