2014-10-04

百鬼園百物語  百けん怪異小品集 : 内田百けん 東雅夫編

『百鬼園百物語: 百けん怪異小品集』  内田百けん 東雅夫編

 巨大な鰻が濠の水の中から街の往来へずるりと這い出してくる・・・この奇妙な光景が頭をよぎる度に、「これは夢か何かで見たんだったかなぁ」とぼやぼや思ったりしていたが・・・そうか、内田百けんの「東京日記」で読んだ場面だったんだ。

 そもそも私は水中の生きものに何か生理的な恐怖でも抱いているものか、ゆったりと山間を流れる川の淵のようになったところを何となく眺めていたら、川底に5メートルはあろうかという正体不明の魚の影がいくつもゆらめいているのが見えてゾッとしただとか、近所の川を泳いでいる魚たちが寄り集まって群れになったかと思うと巨大な山椒魚のような姿になって這い出してきたとかいう夢をよく見る。うちの近所の川を泳いでいる50センチくらいのわりと大きな鯉だかなんだかよくわからない魚を見ても何か気味悪いな~と思う。

 いつ読んだものかすっかり忘れていたけど、百けん先生がさらりと書いてみせた夕暮れの東京のシュールな光景は、恐ろしい水中生物の夢をよく見る私に、もう一つの悪夢の光景としてやきついちゃっていたのだ。でも、怪物めいた水中の生きものを夢に(現実でも)見て背筋を走る“ゾォ~”という感覚は恐怖であると同時になんとも言えない快感であるような気もしている。


 日常の風景の先にとんでもないシュールをあまりに平然と描いてしまう百けん先生の剛腕はやっぱり凄まじい。シュールの流入で現実が危うくなったその上に、その剛腕ぶりと表裏一体であるかのような百けん先生のこれまた並はずれた怯えが伝染してきて、何とも落ち着かない心持ちにさせられる。

 一つ一つの作品がつながり、重なりながらより妖しく怪異が醸成されていく・・・百物語の形式にこだわって編まれた小品集。



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