2014-08-23

神様が殺してくれる : 森博嗣

『神様が殺してくれる』 森博嗣

 自らが巻き込まれることになった、美しすぎる友人リオン・シャレットに纏わる連続殺人事件について語る「僕」。その語りに悲しみと欠落を漂わせる「僕」という存在そのものに何か秘密があるのだろうということは最初から予感された。

 リオン・シャレットに関わる5人の男女が次々と殺された理由。殺人の現場にいたリオンが「神が殺した」と言い、その神の名として「僕」の名前を告げた理由。残酷な事実のすべてを語る「僕」と、事実として語られた言葉を「そのまま信じることはできない」と言う「僕」と、結局は言葉にできなかったことと・・・。

 千々に分裂する「僕」の姿も、殺人を犯した「僕」の半身の思いも、「僕」を神と言ったリオンの思いも、そのありのままを掴むことは難しくて、ただそのことを思い、考え続けることしかできない。

 事件によって深く傷つきながらも、自分のために、リオンのために、自分の半身のために、何が起きたかを明らかにするべくこの一連の事件を語る「僕」の言葉は自制と思いやりに満ちて切ない。

 深い傷を抱えて「僕」はこれからも生きていく。唐突だけども、「ありのままに生きる」ということはやはり高らかに誇らしげに歌い上げるものじゃなく、あきらめ(諦める+明らめる)を含んで口にするものなんじゃないかなと思った。



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