2014-08-02

ジャージの二人 : 長嶋有

『ジャージの二人』 長嶋有

 以前、長嶋有氏のエッセイを読んだとき、「なんかこう、フラットな・・・感じだなぁ」と思ったのだ。気持ちを大きく浮上させるような凸も、深く沈ませるような凹も、こけおどしのような尖ったところもない。ただ、時々登場するやけに具体的な固有名詞(「サボテンとバントライン」とか、「パイロット HI-TEC-C」とか)が身に沁みて、〝ああ・・・”と身悶えしてしまったのだ。

 失業中かつ妻が他の男と恋愛中である息子と、3度目の結婚生活が危うい父が、夏の終わりを群馬の山荘でジャージ姿で過ごす『ジャージの二人』。『ジャージの二人』の翌年、またも山荘にやってきた父子+もう一人『ジャージの三人』。なんかこう・・・やっぱりフラットな感じ。状況はかなりドラマチックだと思うんだが、そんな書きぶりはちっともない。ともすると「ユルい」見かけにおおいつくされそうになる。

 ただやっぱり、時々登場するやけに具体的な名詞やあまりに身近すぎるモノ(「プリングルス」とか、「輸入物のビスケットに貼り付けてある日本語のシール」とか)によって、世界が急に生々しく迫ってくるのだ。あまりにも具体的すぎて、普段は存在していても見えない、意識にものぼらないモノの名前を改めてつきつけられて脳が活性化するんだろうな、きっと。

 大きな凸も凹もない。ただ、たくさんの色んなことがフラットに、並列に、ぼこぼこと生まれ、存在する。この感じ・・・あれだ、以前読んだエッセイのタイトル・・・『いろんな気持ちが本当の気持ち』




FC2 Blog Ranking
スポンサーサイト

theme : 読書メモ
genre : 本・雑誌

trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

『ジャージの二人』

長嶋有 『ジャージの二人』(集英社文庫)、読了。 映画化されたという事実から、 もう少し展開の波があるのかなぁと勝手に想像してしまったようで、 小さな波の連続に乗り切れないまま読み終わってしまいました。 父と息子の会話の端々に垣間見えるユーモアセンスは絶妙で、 クスリとさせてくれるのですが、物語に気持ちが乗っていないので、 なんとも刹那的な印象なんです。 主人公は、...

comment

管理者にだけメッセージを送る

プロフィール

やぶからねこ

Author:やぶからねこ

FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

ブログランキング
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村 漫画ブログへ
カテゴリー
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
検索フォーム
カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
魂に喰い込んでます
月別アーカイブ
Powered By FC2ブログ

Powered By FC2ブログ
ブログやるならFC2ブログ