2014-05-24

竜が最後に帰る場所 : 恒川光太郎

『竜が最後に帰る場所』 恒川光太郎

 『夜市』に収録されていた「風の古道」を読んで以来、恒川光太郎氏の描く異界の厳格さにざっくり傷つけられながらも惹きつけられずにいられない。この世の意味や価値とは無関係な、ただ純粋にこの世とは異なる理で運行される世界の物語に戸惑い、読後に残る何とも言えぬ不思議な感触をもてあます。

 この世の外にではなく、人の心の内に在る異界を見るような「風を放つ」「迷走のオルネラ」。冬の夜、闇の中から忍び寄ってくる微かな気配とざわめきが妙に生々しく、懐かしさに似た気持ちを呼び起こす「夜行の冬」。人間とはスケール感の異なる生命の存在を思わせる「竜が最後に帰る場所」

 それぞれに魅力的なファンタジーであったり、不思議な手触りの幻想譚であったが、この4編についてはまだ私の想像力・・・というか、「物語を読む」という想定の範囲内で対応できた。しかし、世の中に稀に発生する奇異な存在=「偽装集合体」と、それを「解放」する力を持つ青年の物語~「鸚鵡幻想曲」は、とても鮮やかな視覚的イメージと、どこかおとぎ話めいたのどかさと、日常を破壊する恐ろしい理不尽さで、現実的な拠りどころをとても曖昧なものにしてしまう。ふとあたりを見まわすと、これまであてにしていた現実的なルールが全て無効になっている・・・そんな戸惑いと驚異のただ中に放り出されてしまった。




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