2014-05-17

黄金旅風 : 飯嶋和一

『黄金旅風』 飯嶋和一

わたくしごとき西海の海商人にとりましては、天と地と人との三界の他に、
海という水平の広がりを持つ異界がございます。


 作中、いちばん胸を突かれた台詞であると同時に、私のこの作品を読む資質の無さを感じさせられた言葉でもある。私はどうも「海」という厳しさと自由をはらんだ広がりに掻き立てられるものの少ない質の人間のようだ。『ワンピース』は好きだが、「海」に惹かれてるわけではないしな。そんな私が読んでも胸がアツくなったのだから、「海賊モノ」なんかが好きな人にはもっとたまらない、わくわくすると同時に少し切ない話なのではないだろうか。

 寛永年間、海洋貿易都市として栄える長崎に、不穏な空気が立ち込め始めていた。陰湿な切支丹狩り、貿易相手であるポルトガルやオランダなど外国勢力との軋轢、長崎奉行に着任した竹中采女正の横暴。その長崎の町で異彩を放つ二人の男~長崎の港湾を取仕切る大貿易家であり長崎代官をつとめる末次家の「不肖の息子」平左衛門と、かつて手の付けられない悪童で「南蛮人斬り」の異名で呼ばれた内町火消組惣領・平尾才介。

 自由な気風に溢れていた町が暗雲に呑み込まれようとするとき、ついに「不肖の息子」平左衛門がその本性を顕す。

 広く世界を見る目と、自由と公平の精神、独立の気概をもって遥かにひらける海に臨む、平左衛門や才介はじめ、末次船船大将の彌兵衛ら長崎に生きる人々。大御所秀忠から将軍家光の時代へと、徳川家の支配体制が強まっていく中で、これから始まる息苦しい世の中を生きていく人々の心の中で輝き、吹き続けるであろう黄金の風のような勁くて清々しい男たちの生き様。




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