2013-12-07

砕かれざるもの : 荒山徹

『砕かれざるもの』 荒山徹

 宇喜多秀景、八丈島より推参! 

 「予は生まれながらに将軍である」と嘯きながら、その実、コンプレックスの塊である三代将軍家光が示威の為に加賀百万石・前田家を取り潰さんと仕掛けた罠は、過去の亡霊とも言うべき者たちをも引き寄せ、事態は幕府の思惑を超えた奇怪な展開に・・・。

 一方、窮地に立った前田家は、かつての縁を頼りに、八丈島に流人として暮らす宇喜多一族に秘かに救援を求める。しかし、希望を託した剣士・宇喜多秀親を幕府より放たれた柳生十兵衛に討たれ、唯一の望みも潰えたかに見えた中、兄を殺された怒り、血縁である前田家への思い、そして何よりも「島の外を見たい」という渇望を胸に、備前中納言秀家の孫・「生まれながらの流人」秀景が八丈島を発つ。

 十兵衛率いる柳生剣士団、前田家の危機に駆けつける宇喜多秀景、秀景を導く山田浮月斎、伊藤一刀斎、幕府と前田家を相手に暗躍する第三勢力に身をおく宮本武蔵。さらに、加賀藩富田流の剣士たちに、幕府への反骨の思いを胸に京から参戦する吉岡一門、越中の忍者集団入り乱れての剣戟。

 息もつかさぬ斬り合いに次ぐ斬り合いに心拍数は上がりっぱなしなのだが、ず~っと違和感としてついてまわるのは・・・「秀景、いつの間に強くなったの?」という疑問。

 島を出るときには兄に遠く及ばぬひよっこ剣士だったはずが、嵐の海で柳生十兵衛に遭遇し漂流するところを、島の老人・弥五郎=伊藤一刀斎に救われた後は、いきなりほぼ無敵となって加賀へ向かう秀景である。その強さは痛快ではあるけれども、幾多の苦難と闘いを経て成長してゆく若者の姿を見たかった私としては、ん~ 「訳もなく強すぎだろ」とちょと不満。

 世間と隔絶された場所で、剣の腕だけを身につけて育った天然自然の純粋児・秀景は、人里離れた山中で宮本武蔵に育てられた剣士、『吉原御免状』の松永誠一郎にどこか似ているような気がする。とすると、人としての様々な感情を味わい変わっていくであろう秀景の、むしろこの先をこそ見てみたい。続編とか、予定はないのかなぁ。


 最後に登場する宇喜多秀家の気骨ある戦国ジジイっぷりがカッコよく、先だって読んだ『梟の系譜 宇喜多四代』での、あんまりな言われようが雪がれた気がした。




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