2013-09-21

薔薇の名前 : ウンベルト・エーコ

『薔薇の名前』 ウンベルト・エーコ

 映画『薔薇の名前』が公開されたのは、私が高校生の頃だったろうと思う。スチル写真で見た、中世の修道僧を演じるショーン・コネリーが素敵で、“いつか『薔薇の名前』を読もう。”と、ず~っと思い続けてきたのだ。(なぜか映画を見ようとは思わなかった。)

 しかし、そもそも翻訳ものが苦手であったのと、『薔薇の名前』が衒学的で難解な小説と言われているらしいということもあって、チャレンジする勇気がないまま今まできてしまった。

 で、20年以上敬遠してきた『薔薇の名前』に、意を決してというか、蛮勇をふるってというか挑戦をしたのだが、「手記だ、当然のことながら」と記された冒頭部分~中世の修道僧アドソの手記の写本を入手し、それを訳出し公開するに至った経緯を語る、本編の前置きとでもいう部分を読んでいる時点で、「無理だ・・・」と心が折れそうになった。作者が何を語ろうとしているのかまるっきり理解できない。“いったい何を言ってんだ、この人は?”

 “やはり読むのをあきらめようか”と思う心を励まし「プロローグ」を読んでまた挫けそうになる。世界史をちゃんと勉強したことがないので、宗教的背景はもちろん歴史的背景がまったくわからない。「神聖ローマ帝国って何?」というレベルである。

 半ば投げやりな気持ちで、それでも読み進める。すると・・・、異端審問に宗教的な図像たち・・・雰囲気ありすぎな中世の僧院を舞台に繰り広げられる書物をめぐるミステリーとして面白く読めるのだ。たとえ、ウィリアムたちの会話の中で話題にされ、参照される数々の書物がどういうものなのだか知らなくても・・・。

 写字室で一つずつ筆写される文字、施される細密画。迷宮のような文書館に秘蔵される書物への、学僧たちの激しい好奇心、知への欲望。何事かを記した書物が、あるいは書物に記された何事かが、人を動かし、狂わす。こんなにも深く書物に耽溺する人々を羨ましくも思いながら、僧院に起こる惨劇を、謎を解こうと奮闘するウィリアムとアドソの姿を眺め・・・

 読み終えて本を閉じ、“ああ、皆、行ってしまった。”という寂寥感の中に取り残されている自分に気づく。


 今は、『薔薇の名前』に惨敗した心を、ショーン・コネリー演じるバスカヴィルのウィリアムの素敵な姿に慰められたいと思う。秘密の地下通路を、文書館の迷宮を歩き、推理するショーン・コネリーの姿を見たい。・・・我が家にDVDプレーヤーがあるものならね。(そう、我が家にはDVDプレイヤーが無い。)




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