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2013-08-17

猟奇歌 : 夢野久作 赤澤ムック編

『猟奇歌』 夢野久作 赤澤ムック編

 この夏、知人よりお誘いをいただいて、ある短歌の大会に歌を出してみることにした。といっても、まったくの素人であるので、まずは何か入門書を探そうと出かけたのだが、帰りに手にしていたのは、この『猟奇歌』だったという・・・

 編者の赤澤ムック氏により八つの章がたてられ、その分類に沿って百十六首が収められている。読んでいるうちに、十代の頃に抱いていた、何に向けてよいかわからぬ憎悪、ここではない世界への憧れ、痛すぎる自意識などを思い出し、「おお! そういえば私にも十代の暗黒はあったのだ!」と懐かしい。

 地平線になめくぢのような雲が出て
 見まいとしても
 何だか気になる


 殺人狂が
 針の無い時計を持つてゐた
 殺すたんびにネヂをかけてゐた


 このような一首が熱病のようだった「十代の暗黒」を刺激するのは確かなのだが、多くの十代が抱く、出口もなく、形もなく、ただモヤモヤと蟠る非生産的な闇と異なり、「猟奇歌」に詠まれるのは、人の後暗いところに生まれ、言葉によってドラマとイメージをあやしく花開かせる、大人の嗜む猟奇である。

 誰か一人
 殺してみたいと思ふ時
 君一人かい…………
 ………と友達が来る


 という一首など、口の端に思わず暗い笑いが浮かぶ。なんだか、もう、上等な「猟奇芸」とでも呼びたいような気がする。





よけいなことながら・・・

 あとがきに綴られる編者の「猟奇歌」への共感には、ちょっと同調しづらいところがある。編者は時代や社会情勢とからめて「猟奇」を語るが、猟奇を愛好する心は、時代や社会云々ということではなく、もっと個人的な領域に潜在しているのではないかと思うが・・・。

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