2013-08-10

冥談 : 京極夏彦

『冥談』 京極夏彦

 幽霊でも、化物でも、妖怪でもなく、「こわいもの」のお話し。例えばそれは、「あるはずがない」「あってはいけない」場所に何ものかがある怖さ。

 収められた話のいくつかに「家」というものが印象深く登場する。「冬」という話の語り手は、匂いや音、皮膚に残った感覚を頼りに、子供の頃に訪れていた豪農であった祖母の生家の記憶を辿る・・・。


 私の父方の祖母の家も農家だった。「冬」に書かれているような豪農ではもちろんなかったが、襖で仕切られた部屋がいくつもあり、盆や正月に親戚たちがあつまると、私も兄や従兄弟、従姉妹たちと家中を走り回り、あちこち探検して回ったものだ。

 松のある庭に面した仏間、その裏の曾祖母が寝起きしていた薄暗い部屋、妙な匂いのする黒光りする水屋、ヤツデとドクダミの生えた狭い裏庭、玄関の三和土は苔でも生えていたのか深緑色で、やはり三和土になっていた台所には薪で炊く竈があり、風呂は五右衛門風呂だったなぁ。部屋の周りはぐるりと縁側がめぐらされていて、なんだか入り組んだ廊下の行き止まりには波しぶきとその上に浮かぶ月が漆喰で描かれていたように思う。

 私たち家族が寝るのは納屋の二階の空き部屋で、階段をはさんだ隣りは当時独身でまだ実家で暮らしていた父の末の妹である叔母の部屋だった。

 
 年頃の女性の部屋というものが気になって叔母の留守中にこっそりその部屋に入ってみたことがある。すると、床には何やら鮮やかな色で描かれた花札のようなものが散らばっており、その中に幽霊のような青ざめた女の人の絵があるのを見た   ・・・というのは、おそらく夢との境が曖昧になってしまっている記憶。




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