2013-06-08
ブラッド・スクーパ ― The Blood Scooper : 森博嗣
『ブラッド・スクーパ - The Blood Scooper』
森博嗣
「この感覚は何かに似ている」と思いながら読み、読み終えてしばらくしてから、「ああ、夢を見ているときの感じに似ているのだ。」と気が付いた。
地上のどこにあるのかわからない、どこにつながっているのかわからない村。全体は曖昧であるのに、ある部分は妙に鮮明で生々しい。繰り広げられている情景をどこか俯瞰で眺めながらも、そこで交わされる感覚は自分のものとしてダイレクトに流入してくる。・・・そういう、夢の中のような感覚。
立ち寄った村で、不老長寿が得られるという宝「竹の石」を守る家と、その宝を狙う盗賊との争いに関わることになったゼン。村で行き会った人たちと言葉を交わし、刀を交え、そのすべてについて思考する。
無垢なゼンの思考は、知識や経験に阻害されないきれいな軌跡を描く。生死に直結する、その侍としての身体の動きは思考の結果としてある。
ゼンが思考することによって、そして疑問を口にすることによって解かれていく世界の清新な姿には驚かされる。色々なものが、一瞬、クリアになったような気がする。
でも・・・夢から覚めた後のように、小さな気がかりのようなものを残して、全ての感覚はまたぼんやりとした思考しない日常に紛れていく。常に目の前のものをクリアに見て、純粋に思考しつづけることは難しいのだ。ああ~


FC2 Blog Ranking
「この感覚は何かに似ている」と思いながら読み、読み終えてしばらくしてから、「ああ、夢を見ているときの感じに似ているのだ。」と気が付いた。
地上のどこにあるのかわからない、どこにつながっているのかわからない村。全体は曖昧であるのに、ある部分は妙に鮮明で生々しい。繰り広げられている情景をどこか俯瞰で眺めながらも、そこで交わされる感覚は自分のものとしてダイレクトに流入してくる。・・・そういう、夢の中のような感覚。
立ち寄った村で、不老長寿が得られるという宝「竹の石」を守る家と、その宝を狙う盗賊との争いに関わることになったゼン。村で行き会った人たちと言葉を交わし、刀を交え、そのすべてについて思考する。
無垢なゼンの思考は、知識や経験に阻害されないきれいな軌跡を描く。生死に直結する、その侍としての身体の動きは思考の結果としてある。
ゼンが思考することによって、そして疑問を口にすることによって解かれていく世界の清新な姿には驚かされる。色々なものが、一瞬、クリアになったような気がする。
でも・・・夢から覚めた後のように、小さな気がかりのようなものを残して、全ての感覚はまたぼんやりとした思考しない日常に紛れていく。常に目の前のものをクリアに見て、純粋に思考しつづけることは難しいのだ。ああ~
FC2 Blog Ranking
スポンサーサイト
trackback
comment
Powered by FC2 Blog
Copyright © 猫の額 All Rights Reserved.