2013-05-18

本屋さんで待ち合わせ : 三浦しをん

『本屋さんで待ち合わせ』 三浦しをん

 とにかく本や漫画を読んでばかりいるという三浦しをんさんの書評+本にまつわるエッセイ集。先に出たエッセイ集『お友だちからお願いします』と並んでちょっと「よそ行き仕様」か?

 しをんさんは『ちゃんとした評論ではなく「好きだー!」「おもしろいっ」という咆哮になっちゃってる』とおっしゃっているけれども、『シュミじゃないんだ』に充溢していたような、(良い意味で)見苦しいまでの情熱の迸りは少々抑え気味に(何せあれは、「逆に読者が引いてしまうのでは?」という危惧すら抱いてしまうほどだった)、しをんさんが感じたそれぞれの本、作品の美点、それらが私たちに伝えてくれることなどが、少しかしこまった調子で語られている(「ウン○を食べる話」の話に4ページが費やされていたりもするが)。

 でもやっぱり、かしこまった中にも抑えきれない情熱と興奮が「ボコッ、ボコッ」と噴き出して見えるところはあり・・・丸山健二の小説やエッセイ、浅生ハルミン『猫座の女の生活と意見』、吉田篤弘『圏外へ』が私の「読みたい本リスト」に加わった。それに太宰治『津軽』を読んで身もだえ、のたうちまわってみたい気もする。あと、橋本治の『双調平家物語』もやっぱり読まなきゃなぁ・・・。


 本書には『東海道四谷怪談』についての一章がある。『あやつられ文楽鑑賞』での、しをんさんの古典芸能に対するツッコミや洞察は鋭く深く、目からウロコの思いがしたのだけど、しをんさんはここでも驚きの考察を披露してくれる。お岩の顔を醜く恐ろしく変えてしまう伊藤家秘伝の「命を奪うことなく、面体だけ崩れさせる薬」について。「腹痛の薬」や「証拠の残らぬ暗殺用の薬」と違い、こんなに用途の特殊な、たいして需要もなさそうな薬を伊藤家の人々はなぜ代々伝わる秘方の薬として持っていたのか? しをんさんの推理が冴える!  もしも、お梅と伊右衛門がめでたく結婚したとして・・・伊右衛門もいずれ「面体崩るる秘薬」を盛られる運命か・・・ こんな風に骨の髄まで楽しんでもらえたら鶴屋南北も嬉しいだろう。





【過去記事】
『シュミじゃないんだ』・・・http://neconohitai.blog71.fc2.com/blog-entry-188.html

『あやつられ文楽鑑賞』http://neconohitai.blog71.fc2.com/blog-entry-213.html

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「本屋さんで待ち合わせ」三浦しをん

口を開けば、本と漫画の話ばかり。2012年度本屋大賞に輝く著者が本と本を愛するすべてのひとに捧げる、三浦しをんの書評とそのほか。 すごい読書量です。目次で活字が大好きな人間の乱読の模様がひと目で分かります。 本についての本、ジャンル分類としては書評本ですがエッセイとしても充分面白いです。 いつもより真面目な感じですが随所に三浦しをんさんならではの独自の目線を感じます。 古典からBLま...

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本好きにはたまらない1冊ですね。
次はどんな小説を書かれるのか、とても楽しみです。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。

TBありがとうございます。

しをんさんにはまたマンガ関係のエッセイも書いてほしいです。
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