2013-01-05

秘帖・源氏物語 翁‐OKINA : 夢枕獏

『秘帖・源氏物語 翁‐OKINA』 夢枕獏

 光の君が奏でる楽の音につられて姿を現わす妖しきものたち。精霊とも、鬼とも、神とも呼ばれる、普通の人には見えないそのものたちを、木や、石や、水や、花といった自然のものと同じように感じ、見る光の君。血の色が透けて見えそうな白い肌と紅い唇、その口もとに浮かべた笑み。何となく、岡野玲子氏の描く『陰陽師』安倍晴明の姿を思い浮かべる。


 賀茂祭見物の折の車争い以来、高熱を出し臥している葵の上に憑いた悪しきもの~高野の高僧の手にも余る憑物を祓うため陰陽師・蘆屋道満が呼び寄せられる。道満の術によって葵の上の中から現れた正体不明の憑物は、光の君を試すようにある謎をかけて消えてゆく。
 
 謎の答えを求めるべく、蘆屋道満に導かれ、夏焼太夫、虫麻呂、青虫、三人の呪師の手を借りて、都から唐、そして遥か西域の神々の世界をめぐる、冷ややかに美しい光源氏の大冒険?!

 冒険の中で語られる、人に祀られた神や仏の来歴、秘密、そして、そのスピーディな展開は充分に刺激的ではあるのだが、光の君一行の眼前を過る神仏の姿 ~ 牛頭天王、賀茂祭の猪頭、都の大路を行く百鬼夜行、弥勒菩薩を祀る太秦寺に秘された神、獣の頭を持った異国の王子の神話は、次々と流れゆく車窓の風景のようで、「京極堂の蘊蓄」の長大さに慣れてしまった身体には、何だかあっさりしすぎて物足りなくも感じられる。

 また、蘆屋道満に導かれた光の君が最後に対面する「翁」~本作品のタイトルでもあり「全ての精霊の王」と総括される「翁」がいかなるものであるのか、その肝心のところが理解できないというか・・・上手くのみこめなかった。

 ・・・と、読後モヤモヤしていたら、中沢新一氏が「石神」「翁」について考察した、タイトルもズバリ『精霊の王』という本があることを知った。また、秦氏(本作で光の君と神仏めぐりの旅をする蘆屋道満は秦氏の血をひく)と「翁」の関わりから攻めるなら、梅原猛氏の著作に『うつぼ舟Ⅰ  翁と河勝』というのがある。このあたり読んでみよう。




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