2012-12-08

妖笛 : 皆川博子

『妖笛』 皆川博子

 元禄十五年十二月十四日深夜、本所吉良邸を襲った凶事。祖父であり養父でもある上野介の首を取られ、自らも深手を負った吉良家当主左兵衛義周は、この時十八歳。

『浅野内匠頭家来ども、上野介を討ち候節、その方仕方不届に付き、領地召し上げられ、諏訪安芸守へお預け仰せ付けられ候なり』

 網をかけた駕籠で罪人のように諏訪へと送られた左兵衛は、幽閉の日々の果てに一管の鉄笛で自害して果てた。 


 家老の左右田孫兵衛とただ二人、左兵衛に付き従い諏訪での日々を共にした近習・山吉新八。

 理屈に合わぬ赤穂浪人たちの暴挙。評定所の理不尽な沙汰。あの夜、主を守って戦うでもなく逃げ隠れしておきながら、今、左兵衛に対して厚かましいほどの馴れ馴れしさを見せる左右田孫兵衛への嫌悪と苛立ち。はらわたの煮える思いを噛み殺し、ほとんどものも言わぬ左兵衛を見つめる新八の中で、あやしく膨らみ、歪み、乱れ、また、暗く秘される思い。

 新八が空耳に聞く笛の音・・・孫兵衛が吹くと優婉な音色を発して左兵衛を慰め、また左兵衛自身がその唇で幾度となく奏で、そして・・・左兵衛の頸骨を打ち砕いた鉄笛の音。

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