2012-10-13

街場のマンガ論 : 内田樹

『街場のマンガ論』 内田樹

 「マンガ論」というよりも、長年のマンガ・リーダーである内田樹氏がさまざまな媒体で発表されたものの中から、マンガへの言及があるもの(直接の言及がなくても、マンガの存在が想定されているようなもの)を集めた一冊。・・・そういえば、内田樹氏の肩書が何であるのかよく知らない。大学で教えて、もの書いてる人。それから武道をやってる人。そういう認識でいいのかしらん? 

 井上雅彦が『SLAM DUNK』や『バガボンド』で描くテーマについて。武道家の目と身体と感性で読む『バガボンド』に見る井上雅彦の絵の到達点について。漢字(表意文字)とかな(表音文字)が混在する日本語をすらすらと読む日本人が、絵と文字という情報を同時に処理しながらマンガをさくさく読む能力にも長けていること。少女マンガが持つ複数のレベルの言語について、またそれを読み取るリテラシーについて。24年組のマンガ家たちが描いた「少年愛マンガ」の前史。『エースをねらえ!』に学んださまざまなこと。手塚治虫の作劇法。海賊版の存在・・・等々。

 マンガの好みというか、マンガ体験については、私、内田氏と重なるところがほとんどないかも。『鉄腕アトム』にわくわくしたことがないのはもちろんのこととして、内田氏が愛する少女マンガを、私は読むことができないし(ストーリー云々以前に絵に馴染めないことが多い)、私がハマった『BL』に関しては内田氏は全くの門外漢であるとおっしゃる。

 とは言え、マンガ好きな内田氏のマンガの「読み」には驚きもし、共感もし、嫉妬もし、楽しみながら読み終える。ただ、読んでいて違和感を感じたことが二つ。

 一つは、なぜ少女が『BL』を好むのかについて。氏は「男性同士の同性愛」が「非功利的」であることを主に「エロス」とからめて語っておられるが、『BL』好きは「性愛は社会的・人間的価値と結びついたものでなければいけない」という抑圧を離れた純粋な「エロス」にうっとりしているわけじゃなく、社会的価値云々に関わりなく求められる「関係」(“ただ一緒にいたい”とか)にうっとりしてるんじゃないかなぁ(あ、でもこういう関係も“純粋な「エロス」”と呼ぶんだろうか)。いつかは社会的価値に関与しなければいけない時が来て、(ある種の)BL的世界は終わるということを知っているから、その時が来るまでは『BL』にどっぷり浸るという。

 もう一つは、「物書き」がいかなるものかについて。物書きがものを書くのは「一人でも多くの読者に読んでもらうため」というのはいいとして、「一人でも多くの人に読んでもらうためなら金銭的リターンは無くても良い」という立場にいるご自身と(その立場をどんな苦労の末獲得したにせよ)、「商品」としてものを書く人たちを、「物書き」であるという共通項で「私たち」とくくってしまうのは乱暴なのではないだろうか。




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