2012-10-06

欲望のコード―マンガにみるセクシュアリティの男女差 : 堀あきこ

『欲望のコード―マンガにみるセクシュアリティの男女差』 堀あきこ

 「なんで『BL』なんだ?」 ・・・ 「なんで『ジャンプ』好きなんだ?」と並ぶ私の疑問。

 ず~っと女子校にこもってたおかげで、男性に「見られる」ということを意識することもなく、また男性の力をたいしてあてにすることもなく大人になり、就職する頃には、社会的にも女性が生きにくいっていう状況ではなく(男女間に格差がなかったわけではないが)、まあ一通りの社会生活は自分の力でどうにかできると思っていた。

 でも・・・欲望や願望は「~されたい」「~して欲しい」「『獲得したい』と思われる対象でありたい」という受け身の形で発動してしまうことが多くて面倒臭い。そういう形の欲望・願望があるくせに、そんな女性の願望が男性によって叶えられちゃうような物語を読むと虫酸が走る。

 そんなんだから、“まあ、「BL」にいっちゃうのが自然かなぁ”とは思いつつも何だかしっくりしないものがある。結局、私は何に(何を)満たされたいんだ?


 本書は「レディコミ」「TL(ティーンズラブ)」「BL(ボーイズラブ)」といったジャンルの「性的表現を含む女性向けコミック」を、「男性向けポルノコミック」との比較を交えながら読み解くことで、読者である女性のセクシュアリティ観を探るもの。

 「男性向けポルノコミック」「レディコミ」「TL」「BL」を比較・分析する中で、著者は「読者の視線」に注目している。男性キャラに同一化し女性キャラを見る「男性向けポルノコミック」の視線、女性キャラに同一化し女性キャラを見る「レディコミ」「TL」の視線、男性カップルという対の関係に向けられる「BL」の視線、「TL」「BL」に存在する俯瞰の視線・・・それらをたどることで、それぞれのジャンルの作品に読者が求めているものが抽出されている。(が、こと「BL」に関して論じられていることのいくらかは、本書にも引用されている三浦しをんさんのエッセイや、よしながふみさんの対談集ですでに語られていることでもある。)

 「性的表現を含む女性向けコミック」は既存の(男性中心の)『権力構造そのものの存在は不問にしたまま、その関係をズラしていこうとするものである』という(たとえば、身体的に支配される側が、精神的には支配する側として描かれたり、強姦まがいの関係が「過剰な愛情の発露」と読み替えられたり)。そういう仕組みを持つ作品世界が、この論考が出版された2009年以前の読者世代にとって気持ちの良いものであることは想像・納得できる。と同時に、こういうのが気持ちいい世代ってそろそろ終わりになってくるんじゃないか、それでは満足できない世代が生まれてきてるんじゃないかって気がする。




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