2012-08-18

明治開化 安吾捕物帳 : 坂口安吾

『明治開化 安吾捕物帖』 坂口安吾

 作品紹介や解説を読むと、「文明批評をきかせた」とか、「(小説の舞台である)維新後と(小説が発表された)敗戦後の世相を対比させ・・・云々」という言葉が出てくるのだけど、勝海舟の台詞にそれらしいものをチラと感じるくらいで、私にはどのあたりが「文明批評」で「戦後の世相」なんだかよくわからなかった。

 でも、そういうこと抜きに読んでも、本命の探偵・結城新十郎による事件解決の前に、今は氷川で隠居暮らしの勝海舟が正解をちょっぴり外した推理を披露するというのが面白いし、新十郎に勝手にくっついて出かけては事件に首をつっこむ両隣の住人、剣術使い・泉山虎之介と戯作者・花廼屋因果のうざったさと憎めなさの加減も絶妙で、何だかほっこりする。みんなどんだけ心眼をはたらかせたいんだか。そして勝海舟はあんなに瀉血ばかりしていて大丈夫なのか?

 新十郎はじめ、虎之介、因果、海舟ら探偵側の人物たちが、何かしらの屈託は感じさせるものの、さらりと明るいのに対して、事件はどれも陰鬱で、真相が明かされるほどに重苦しさ、物悲しさが増す。その気分を、しめくくりの勝海舟の負け惜しみとそれを神妙に拝聴する虎之介のちょっと微笑ましい姿が救ってくれるのだが。




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