2012-04-14

アンドロギュノスの裔 : 渡辺温

『アンドロギュノスの裔  渡辺温全集』 渡辺温

 渡辺温という青年のことを知ったのは久世光彦氏の著書『美の死―ぼくの感傷的読書』の中でだった。谷崎潤一郎への原稿依頼の帰り、踏切事故に遭い亡くなった夭逝の作家 ~ 久世氏の文章を満たしていた、その人物と作品への愛情と哀惜の想い。・・・とても気にかかり、いつか読もうと思っていた。


 眩い灯りと西洋風の文化に彩られながら、まだそこここに薄暗い路地や闇を残した東京の街。その街を洒落た身なりで歩く紳士。内気ではにかみ屋の青年。断髪のモダンガール。したたかで可愛らしい街の女。森や海辺のお邸に、また場末のみすぼらしい部屋に暮す病身の娘。

 都市の気分、時代の文化をふんだんに纏った男女が演じるドラマ。ユーモアと機智の中に少し効かせた悪意。都会風の感傷。新しい文化が次々と花咲く都会 ~渡辺温青年自身、その中を意気揚々と歩いたであろう、都市の空気を感じさせる作品群。中でも、人の内面を映像化したかのようなシュールで迷宮的な物語「父を失う話」の奇妙さが印象に残った。

 それにしても、これらの都会的で、若々しい才気と向う気を感じさせる作品を読むと、その作品に刻まれる永遠に青年のままの作者の姿は、何か残酷であるように思われる。


 

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