2012-03-17

生きても生きても : 西炯子

『生きても生きても―西炯子エッセイ集』 西炯子

 “私はその辺にいる人たちと同じではない” “私の本当の居場所は「ここではないどこか」にある”・・・自分は特別であるという思いを拠りどころとする一方で、たとえば肉親のような近しい人にさえ、自分の想いは正確に伝わるわけではないということを思い知らされ、その孤独に傷ついてもいた10代の頃、西炯子のマンガに出会った。椋本兄弟、嶽野義人・・・西炯子の描くお話しは私に寄添ってくれた。

 学生時代の終わり・・・“大人になる”ということが漠然と頭をよぎり始めた頃、やはり西炯子のマンガを読みながら、自分の中の愛しくて、悲しくて、残念な何かを、もうすぐ失ってしまうだろうということをぼんやりと予感していた。

 それから・・・気がつくと西炯子のマンガを読まない何年かが過ぎていた。西炯子のマンガがなくても、仕事をして、食べて、遊んで、生活できた。


 数年前、西炯子のマンガに再会した。以前より随分穏やかな気持ちで読んだ。それは、もしかしたら少しさびしいことかもしれないが。


 西炯子さんにはとてもお世話になった。せめて・・・少しは良い大人になれているだろうか、私は。





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