2012-02-18

「でっけえ歌舞伎」入門 ― マンガの目で見た市川海老蔵 : 樹林伸

『「でっけえ歌舞伎」入門 マンガの目で見た市川海老蔵』  樹林伸


 私にとって、歌舞伎を観ることと漫画を読むことはほぼ同じ。歌舞伎を観ている時の感覚や生理は、漫画を読んでるときのそれとすごく近い。“歌舞伎は現代演劇よりもむしろ漫画の方に近いはず。もっと歌舞伎の世界と漫画の世界が近づくといいのに~”とずっと思っているし、“漫画の世界にある才能を活用しないなんて、歌舞伎はどうかしてる!”とちょっとイライラっとしてもいる。

 だから、海老蔵さんが新作歌舞伎のシナリオを漫画原作者に依頼したというニュースを目にした時は、“やってくれた!”とワクワクソワソワした。残念ながら、その新作歌舞伎『石川五右衛門』を観ることはできなかったんですけどね(だってチケット一般発売日には3階席は全部売り切れてたし、それ以上の席を取るのは経済的に無理だったんですもの)。

 本書は『石川五右衛門』のストーリーづくりを担当した樹林伸氏が、歌舞伎と市川團十郎家代々の歴史に関するざっくりした解説を盛り込みながら、新作歌舞伎製作の現場での出来事、体験、想いを記したものだけど、例えば、猿之助丈が「スーパー歌舞伎」創造の過程を語った『スーパー歌舞伎―ものづくりノート』のような舞台づくりのテクニカルな部分の記述はなく、普段から歌舞伎を見ている人にとっては、既に知っているような一般的な内容がほとんどで物足らないかもしれない。じゃあ、歌舞伎を観たことがない人がこの本を読んで歌舞伎に興味を持つだろうか?というと、それもちょっと・・・どうかなぁ。だって、歌舞伎を好きになるには、良い舞台を生で体験して、どデカイ衝撃を受けるしかない、と思うから。

 ・・・と言って、この本がつまらなかったという訳ではなく ~何が良かったって・・・この本に記されたような歌舞伎製作の現場があったこと。海老蔵さんが『そういう(おもしろいストーリーを作る)人材は、マンガやアニメ、ゲームなどの、今いちばん勢いのあるエンターテインメントの現場にいるんだと思っています。』と言って行動をおこしたこと。歌舞伎の長い歴史と、そこに培われてきた力を理解し、信じ、十分に敬意をはらって参加してくれた漫画の世界の才能があったこと。


 

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