2011-12-24

夕闇の川のざくろ : 江國香織 絵・守屋恵子

『夕闇の川のざくろ』 江國香織 絵・守屋恵子

 しおんは沢山の嘘をつく。山の麓の貧しい村のお地蔵様の足元に捨てられたのは醜かったせい。漁師の夫婦にひろわれて、毎朝はだしで魚の行商に行った。何人もいるピエールたち~恋人のピエール、従兄のピエール、友達の恋人のピエール、亀のジャン=ピエール~の話は際限もなく拡散する。

 人なんてもともとほんとじゃなくて、物語だけがほんとだというしおんは、私の『きわだって孤独できわだって美しく、そしてひどい嘘つきの、ちょっと変わった友達』。しおんは『つまりちょっと嫌な感じの娘だった』。

 台所で料理を作るしおんのために蕪を買いに部屋を出る私。部屋に帰ってきた私を迎えるしおん。

 しおん : 「さっきまであなたは髪がながかったのよ」

  私 : もう十年も、私は髪のかたちを変えていません。


 「しおん」と「私」を包む、寂しくどこか冷え冷えとしているけれど美しく澄んでいた空気が、ざわりと残酷味を帯びる。

 嘘をついているのは「しおん」なのか、「私」なのか?

 しおんはたくさんの嘘を私に語る。しおんの話がほんとうでないことを私は知っている。

 しおんには、ほんとうのような顔をしている世の中のすべてのものが嘘であることが見えてしまう。しおんの話をきく私がほんとうでないことをしおんは知っている。それは、ぞっとするほどの孤独。

 そんなしおんの孤独を知っている、でもこの世の嘘の一部であるような「私」。「嘘」であることで、「ほんとう」になろうとするような・・・。




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