2011-12-17

木暮荘物語 : 三浦しをん

『木暮荘物語』 三浦しをん

 いつか読んだマンガのキャラクターの台詞をなぞるようで、ちょっと苦笑いなんだけども・・・「気持ち」っていうのは、ただ一人でいる自分の中にあるものじゃなくて、“自分”と“誰か”の“間”に生まれるものなんだなぁと思わせる連作短篇。

 木造ボロアパート木暮荘に暮らす住人たちの日常とちょっとした事件。身につまされたのは、木暮荘の大家・木暮老人のお話。真面目に働き、結婚し、家族を作り、穏やかに暮らし、穏やかであったからこそ、心から誰かを、何かを激しく求めることもなく過ごしてきた木暮老人。何も悪いことはしていないはずの木暮老人が味わう悲憤。

 これがツケなのかもしれない。

 悪いことはひとつもしていない。だが、だれかに自分の心を伝える必要を感じたことも一度もない。その怠慢のツケが ~略~ 襲いかかってきたのだ~


 これは怖い。身に覚えがありすぎて怖い。私にも、木暮老人のように孤独と怒りと悲しみを味わわなくてはいけない日がいつか来る。このままでは、絶対、来る。誰かを求めることをしない・自分の心を誰かに伝える必要を感じない ~ これってやっぱり怠慢なんだろうか? そうじゃなかろうかと薄々思ってはいたんだけど・・・。


 “自分”と“誰か”の間に生まれた気持ちは、どこかにきちんとおさまるべき場所があるとは限らず・・・相手には渡し損ね、自分でも消化できず、宙に浮いているけど手放すこともできない気持ち。そんな上手くおさまるところの見つからない「気持ち」の小袋を身体のあちこちにたくさんぶら下げて生きていくのを、実りある人生というのかもな・・・と思ったり・・・。




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「木暮荘物語」三浦しをん

小田急線・世田谷代田駅から徒歩五分、築ウン十年。空き室あります!安譜請ですが、人肌のぬくもりと、心地よいつながりがあるアパートです。うまい、深い、面白い。三拍子揃った会...

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No title

「誰かを求めることをしない・自分の心を誰かに伝える必要を感じない」は、怠慢なのですか。
うーん…怠慢だとは思ったことがないのだけれど…そうですか、怠慢ですか…

こんばんは♪

いつも楽しく拝見しています。

が。
きゃああああ!
こ、これはコワイです、この一節。私も身に覚えありまくりです。
読んでみたい作品だったのですが…ちょっと読むのが恐ろしくなりました(汗)。

No title

tsubakiさま

誰かに何かを期待する、何かを求めることをしなければ、自分の心はかなり平穏に保っておくことができますし、今の世の中、それほど切実に他人を必要としなくても日常生活はおくれるし・・・。

で、自分自身を振り返ってみたとき、誰かと関わることで生まれるかもしれない実りの大きさと、それによって色々波立つ自分の気持ちをコントロールする面倒くささを秤にかけて・・・前者を捨てているようなところがあるんじゃないかなという気がするんです。それは、やっぱり怠慢というのかな・・・と思ったりもします。


本読み人Mさま

 行く先にうっすらと見えていながら目を背けていたものを、目の前につきつけられた気がしました。

 そこは、しをんさんですから情けない笑いを浮かべながら読めるお話しにはなっているのですが。

とても楽しく読めました。面白かったです。
明るく軽く書いてありサクサクっと読めた1冊です。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
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