2011-12-10

妖説 赤穂浪士 : 志津三郎

『妖説 赤穂浪士』 志津三郎

「仰せられること、よくわかり申した。つまるところは、厭がる赤穂の家来たちの鼻面を引っ張って主君の仇討ちをさせようという魂胆でござりますな」


 内匠頭切腹後の評定において、籠城、殉死、仇討ちと、言うことが定まらなかったことといい、山科に居を移してからの色街での遊興三昧といい、いよいよという時になって同志に誓紙を返してまわっていることといい・・・内蔵助はやっぱり仇討ちなんてしたくなかったんじゃないかなぁ。

 最近そんな風にも思うようになってきたとこだったので、赤穂浪士の討ち入りの陰に、表には現れない全く別の者の意図があったという着想にはハマった。赤穂の侍たちのダメっぷりを容赦なくこき下ろす作者の毒舌も、そのダメ侍たちの尻を叩き、鼻面を引き回し主君の仇討ちへと追い込んでいく影の一味の暗躍も痛快に感じた・・・最初のうちは。

 しかし中盤にもなると、赤穂の浪人たちへの悪口があきれるほど執拗に繰り返されるのと、その書きっぷりが怨念を感じさせる程に憎々しげで、あまりに愛嬌がないのとで、さすがに聞き苦しくなってくる。ネチネチとしつこく語られる浪士たちへの悪口に、“もう、いい加減黙れ・・・”と、つい腹の中で毒づいてしまった。

 討ち入りをした赤穂浪士がかなり残念な侍の集団であること ~(ここに語られる内蔵助はじめ赤穂の浪人たちの人間像は、巷間に広まっている義士としての彼らの姿よりも余程納得できるものだったりする)~ とか、陰で討ち入りの糸を引く謎の一味の存在とか、ネタとしてはとても面白そうなのに、どうも作者の興味が赤穂浪士をこき下ろすことに終始していて、ストーリーを語ることにはあまり熱心でないように感じられる。

 作者がストーリーを語らずとも、読者は一般的な「忠臣蔵」のストーリーを知っている。作者はそこに乗っかって、“陰の一味”の動向や、浪士たちの悪口を適当に盛るだけでお話は終わってしまう。ストーリーについてはいかにも物足らないと言わざるを得ない。 

 ウソかホントかは別として(多分その多くが虚構なんだろうけど)、やっぱり長く日本人に愛されている赤穂浪士のお話。その日本人のロマンをぶち壊すなら、それだけもっと練り描き込まれたストーリーを読ませて欲しかった。

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