2011-12-03

赤穂浪士 : 大佛次郎

『赤穂浪士』 大佛次郎

 勅使を迎える書院の畳替えを急ぐ片岡源五右衛門と畳屋の親方の熱い友情も、「風さそう花よりもなほ~」も、「天野屋利兵衛は男でござる」も、赤埴源蔵の羽織の別れも、「あした待たるるその宝船」も、「これぞ山鹿流の陣太鼓!」もない。理を曇らせる情に流されることを極力排除した「忠臣蔵」。

 華やかな文化の花開く元禄。武士の役割が“制度の管理者”へと変わろうとしている時代。何を武士道と呼ぶのか。忠義の名の下に行われたことは何であったか。

 移り変わる時流を敏感に感じ取り、その先に立って舵を取る者であるために、武士も変わらねばならぬ ~ 進んで大勢の波に流されることも良しとする新しい考えと、命を賭けるべき変わらぬ何かを持ち続けることのできる者、そして、そのことの為にはいつでも命を捨てることのできる者こそ武士であるという、古きを守る考え。

 意味のある生とは・・・ より大きなもの、より尊いと思われるものに身を捧げ、私を滅して尽くすことか? それとも、自分の命を自分のものとして精一杯燃やすことか?

 あるいは仇討ちへと身を投じ、あるいはその同志の元を去る赤穂の浪人たちの姿、公儀や吉良・上杉両家の動向の中に、様々なイデオロギー、価値観の対立を浮き彫りにし、大石内蔵助もそれらの対立や葛藤、矛盾を内に抱える存在として描かれる。

 赤穂の動静を探る上杉方の間者として、大勢に流される生きかたを憎み、自分の目と頭で世間を見る盗賊・陣十郎や、武士の社会の虚しさを知る浪人・堀田隼人といったキャラクターを配し、激情を抑えた理性の目で描かれる赤穂浪士仇討ちの物語。


 

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