2011-11-26

須永朝彦小説全集 : 須永朝彦

『須永朝彦小説全集』 須永朝彦

 10代の頃に出会えばよかった。今となっては、長い時を生き続ける美貌の吸血鬼や、長い睫の美少年などというものへの感受性なんてすっかり磨耗してしまっているよ・・・と茶化してみたが、読み始めた最初の夜の夢には吸血鬼が現れ、そういうものに触れて何やら平静でいられなくなるような何某かがまだ心の中にあることを認めざるを得なくなった。

 “10代の頃に出会えばよかった”というのは、吸血鬼や美少年など似合いはしない残念な自分を直視しないための言い訳だけども、それでもやはり、出会うのは10代の頃がよかった。あの独特の気配を発する本屋の奥まった場所にある棚で、函入りの吸血鬼小説集『就眠儀式』に出会ったのだったら、きっとそれはもっと特別なものになっていただろう。


 東欧の暗がりに住む吸血鬼、人を喰う天使、若い闘牛士の死、森の悪魔・・・怖ろしくも圧倒的に美しい異形のものたちへの傾倒と憧れを、繰り返し繰り返し書き綴った物語は、ありふれた人の生活を反転させるような危険なものであるにもかかわらず、暗黒や陰惨さを少しも感じさせず、ただただつよく、純粋な・・・美しい誘惑者への憧れ。

 物語を綴る青年はきっと、女嫌いで潔癖で自惚れ屋で、でも臆病で・・・。いつか彼のもとを黒衣に身を包んだ美貌の吸血鬼が訪れ、彼を攫ってあげればいいのに。




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