2011-11-05
死ねばいいのに : 京極夏彦
『死ねばいいのに』
京極夏彦
これも“憑き物落とし”のようなものなのかしらん。
殺人事件の被害者・亜佐美と関わりのあった人たちのもとへ、素性のわからぬ若い男が訪れる~死んだ女のことを尋きたいと。
見ず知らずの若者の訪問を訝しみ、その礼儀知らずで常識はずれな態度に苛立ち、邪険に追い払っても尚「アサミのことを尋きたい」という若者を前に、後ろ暗い心は怯え・・・心の中にじわじわと根をはり、いびつに凝り固まった思い~彼らの中の“憑き物”が頭をもたげる。
だいたい、何でこの人たちは初対面のアヤしい男に、ベラベラと自分のことをしゃべるのだろう? と読みながら思ったのだけど、“憑き物”のせいといわれれば納得もできる。
“憑き物”つきたちは、見ず知らずの男の前で語り続け、やがて、学歴も、定職も、礼儀も、常識もない男の口にする一言で・・・解体される。そして、まっさらで何も憑いていないかに見えていた男には、亜佐美が憑いていた・・・のか?
結局、亜佐美については、ほとんど何も語られない。誰もが自分のことしか語らない。亜佐美のことを尋きたがっていた男さえ、本当に知りたかったのはおそらく亜佐美のことではなく・・・
人はどのくらい他人に関心を持っている(持てる)のか? やけに不安をあおられる。読後、妙に自分語りをしたくなる。


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これも“憑き物落とし”のようなものなのかしらん。
殺人事件の被害者・亜佐美と関わりのあった人たちのもとへ、素性のわからぬ若い男が訪れる~死んだ女のことを尋きたいと。
見ず知らずの若者の訪問を訝しみ、その礼儀知らずで常識はずれな態度に苛立ち、邪険に追い払っても尚「アサミのことを尋きたい」という若者を前に、後ろ暗い心は怯え・・・心の中にじわじわと根をはり、いびつに凝り固まった思い~彼らの中の“憑き物”が頭をもたげる。
だいたい、何でこの人たちは初対面のアヤしい男に、ベラベラと自分のことをしゃべるのだろう? と読みながら思ったのだけど、“憑き物”のせいといわれれば納得もできる。
“憑き物”つきたちは、見ず知らずの男の前で語り続け、やがて、学歴も、定職も、礼儀も、常識もない男の口にする一言で・・・解体される。そして、まっさらで何も憑いていないかに見えていた男には、亜佐美が憑いていた・・・のか?
結局、亜佐美については、ほとんど何も語られない。誰もが自分のことしか語らない。亜佐美のことを尋きたがっていた男さえ、本当に知りたかったのはおそらく亜佐美のことではなく・・・
人はどのくらい他人に関心を持っている(持てる)のか? やけに不安をあおられる。読後、妙に自分語りをしたくなる。
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