2011-10-15

ゴシックとは何か―大聖堂の精神史 : 酒井健

『ゴシックとは何か―大聖堂の精神史』 酒井健

 中世~深い森が次々と伐り拓かれ農地となり、農村の急激な人口増加により都市へと人々が流入する。聖なる森を侵し、旧い土地との繋がりを失い、不安を抱え、聖なるものとの交わりを求める都市住民たちの宗教的感情を背景に、ヨーロッパ各地で競うように建築が進められ広まっていったゴシックの大聖堂。

 多様性を受け入れ、絶えず変化し、繁殖をつづける、完成し停止することのない運動。産み、滅ぼし、再生する大地の旺盛な生命力。「清純で吉なる聖性」と、それよりもさらに深く根源的な「不浄で不吉なる聖性」。

 ニョキニョキと突き出した尖塔。森に枝を広げる木々のように立ち並び天井を覆う柱や梁、過剰で無秩序にも思える装飾。キリスト教の教導の場でありながら、異教的なものをも内包する、不吉さを湛え異様な姿をした大聖堂が体現する精神。

 そして・・・世界を一元化しようとするキリスト教の精神に沿った単旋律のグレゴリオ聖歌に替わって、聖堂内で奏でられたポリフォニーの宗教音楽。一元化しえない広大なる世界の音~時に絡み合い、溶け合い、膨らみ、また離れ広がっていく、それぞれに独立した複数の旋律。湧き出し、降りそそぎ、溢れ満ちる音に全身を包まれる。ゴシックの大聖堂を満たすその音を想像して、一瞬、鼻の穴から魂が抜け出していってしまうような恍惚を味わった。




FC2 Blog Ranking
スポンサーサイト

theme : 読書メモ
genre : 本・雑誌

comment

管理者にだけメッセージを送る

プロフィール

やぶからねこ

Author:やぶからねこ

FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

ブログランキング
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村 漫画ブログへ
カテゴリー
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
検索フォーム
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
魂に喰い込んでます
月別アーカイブ
Powered By FC2ブログ

Powered By FC2ブログ
ブログやるならFC2ブログ