2011-07-23

弁慶はなぜ勧進帳をよむのか―日本の精神文化と仏教 : 小峰彌彦

『弁慶はなぜ勧進帳をよむのか―日本の精神文化と仏教』 小峰彌彦

 歌舞伎と仏教・・・興味をひかれる2つが並んだタイトルに思わず飛びついたのだけど、これは・・・ちょっと残念だった。

 「勧進帳」「道成寺」「卒塔婆小町」といった、歌舞伎や能で良く知られた演目を題材に、芸能の中に盛り込まれた仏教的なものを明かにし、そこに見える日本人の精神文化を探るという内容なのだが、

 伝統芸能=日本人の代表的文化=日本人の心を表すもの
   ↓
 芸能の中には仏教の諸宗派、また道教、陰陽道などのモチーフが混ざり合って存在している
   ↓
 日本人の精神文化には仏教を中心として多様な宗教を習合する宗教的寛容性が根付いている

 と説くには、論考が不十分であるように思える。だって、著者が本書でやっているのは、芸能の中に見られる仏教的要素を指摘、解説することだけだもの。劇中に仏教的なものを盛り込んだ作者の意図、演じられるドラマの文脈の中でその仏教的なものがどのように機能しているのか、その芸能を観る人たちにどのように受容されたのか・・・そのあたりについては「他に優れた論考がある」と言うばかりで、著者自身の考えはほとんど書かれていない。著者が語っているのは『弁慶はなぜ勧進帳をよむのか』ではなくて『弁慶は山伏の扮装をして勧進帳を読む』ということだけなのではないか?

 仏教的なものが、歌舞伎や能といった芸能の衣装、台詞、作劇に取り入れられていることを指摘するだけでは、土産物屋や飲食店で見かける「テレビ(雑誌)で紹介されました!」って張り紙の文句とあまり変わらないような気がするんだけども・・・。




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