2011-04-27

奇想の江戸挿絵 : 辻惟雄

『奇想の江戸挿絵』 辻惟雄

 江戸の読本などに描かれた挿絵の中から、デザイン性に優れ、驚きに満ち、現代のマンガ・アニメに通じる表現、視覚効果が見られるものを選りすぐり紹介したカタログ的な一冊。

 細部まで描きこまれた迫力ある画面を、もっと大判かつ良い印刷で見たいとも思うが、値段的にもサイズ的にもコンパクトな新書でなかったら、私自身手に取ったかどうか・・・と考えると、やはり新書で出して正解なのかもしれない。

 四方に放射する光、湧き上がる黒雲、荒れ狂う風雨、波濤。怨みをまとった幽霊やおどろおどろしい化け物・妖怪が跋扈する異界を、妖しく、怖ろしく、美しく、驚くべきイメージでドラマティックに一枚の絵に仕立てて見せた江戸の挿絵。

 枠線の外にはみ出して描かれた人物が画面に立体感、躍動感を与えていたり、化け物の出現に崩れ落ちる屋根瓦を描くスローモーションの表現、薄墨を使った重ね摺り(スクリーントーンを使った画面によく似ている)で現実の場面と幻視の情景を二重写しにしてみせる技法などは、確実に現代のマンガ表現にも通じている。
 
 この画面を木版で作り上げていた江戸のクリエイターたちの技術力、センス、探究心、エンターテイメントにかける意気、こだわり、プライド、遊び心と猛烈なサービス精神 ~ その仕事ぶりに圧倒される。

 こういう挿絵の存在を知ったからには、このぞくぞく、わくわく感をぜひ挿絵単体ではなく、複雑怪奇・奇想天外な物語と共に味わってみたいと思う。




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genre : 本・雑誌

tag : 江戸 読本 挿絵

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