2011-04-16

ウルトラバロック・デプログラマー : 浅田寅ヲ

『ウルトラバロック・デプログラマー』 浅田寅ヲ(原作:いとうせいこう『解体屋外伝』

 『暗示の外に出ろ。俺たちには未来がある。』

 言葉を武器に精神世界の戦場を行く、「解体屋」意識下の戦闘!


 聖オーガスティン病院の特別室で、長らく記憶を失い、他者の言葉を垂れ流すばかりだった一人の男の意識が再び動きだした。男は「解体屋」・高沢秀人(二代目)。

 暗示~言葉で編まれたプログラムを他人の頭に埋め込む“洗脳”が巨大なビジネスとなった近未来。洗脳集団=「洗濯屋(ウォッシャー)」に対抗する洗脳外し=「解体」のプロとして「洗濯屋」の中から派生した「解体屋(デプログラマー)」。目覚めた高沢の周囲には、高沢の目覚めの鳥~タイ人の医学生ソラチャイ、聖オーガスティンの精神科医・知香、他人の声をコピーし、人を操る歌声を持つ少年・ノビル、ノビルを取り巻く謎の集団が・・・。

 原作小説からして、高速で溢れ出る言葉で編み上げられたビジュアルイメージの奔流!だったのだ。浅田寅ヲ氏はそこに、原作とはまた違った刺激的な画面を創り出した。

 次々と組み上がり積み重なり自分の内外に張り巡らされていく暗示を、絶えず自分を更新し続ける言葉で切り開き、解体する。

 徹底して「言葉」で構築されていた原作の世界が、「画面」で表現されることで、精神的な緊迫感は肉体的な高揚感に変換され、“他者のテクストに抗う自己の言葉”という、自己の存在を問う内なる闘いの色が濃かった洗脳vs.解体の闘いは、寅ヲ氏によって配された魅力的なオリジナルキャラクター ~洗脳企業サイキック・ワークの戦闘員?ルートとリシャート兄弟、高沢のスプリット・セルフたち~ の存在によって、「解体屋」高沢 対 「巨大洗脳組織」サイキック・ワークという局面がクローズアップされた形になった。

 「解体屋」のスプリット・セルフ・・・「解体」の技術として三つに分割された自己~外界で対象に向かい言葉や動作を発する「操作者」、精神世界の前線送りの「戦闘者」、「操作者」「戦闘者」双方からの情報を解析するコンピュータ役の「解析者」~ それらが完全な“技術”として無機的なCGのようなイメージで描かれる原作のクールさにも痺れるのだが、寅ヲ氏が新たに描いた、猛烈に愛すべきキャラクターを持った彼らにもまいってしまうのである。

 キュートな言語感覚を持つオウムの「解析者」と、大時代で装飾過多なハンサムながら、心配性で泣き虫、ガーデニングを愛し、ぬか漬けを常備し、暇ができると刺繍を刺す「戦闘者」。

 「ディアブロ(悪魔)」と「カラベラ(髑髏)」という名前までつけてもらった彼らの存在で、原作の世界が少し変わってしまったことは否めないのだが・・・じゃぁ、彼らに会えなくてもよかったのかと言われると、「いや! いや、いや! 君たちに会えて良かったぁ!」





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