2011-02-02

女人蛇体―偏愛の江戸怪談史 : 堤邦彦

『女人蛇体―偏愛の江戸怪談史』 堤邦彦

 「蛇になる女」の怖ろしく、禍々しく、あさましい姿から、なぜ目が離せないのだろう? 醜いはずのその姿は、なぜ美しくもあるのだろう? 昨年、市川亀治郎演じる歌舞伎『金幣猿島郡』の清姫や、萩旅行の際立ち寄った美術館で芳年の「清姫日高川に蛇体となる図」(本書の表紙にもなっている)を見て以来、気になって仕方がない。

 本書は、『蛇体となる女』の物語の発生と受容ついて、そして、なぜ江戸の文芸には邪恋、嫉妬、怨みの末に蛇体となる女が多く描かれたのかということについての論考。

 『法華経』の説く「竜女成仏」の思想が、布教の現場で民衆の生活実感に沿った説話として語り直され、中世以降の仏教の広がりと大衆化の中で各地の風土、伝承と融合しつつ人々の心象の中に定着し、やがて宗教的な枠を超えて文芸としての「蛇と化す女の物語」が生みだされる。その変貌の軌跡が、少しずつ視点を変えながら繰り返し語られ、そのような「女人蛇体」の物語を生み、受容した江戸の社会、精神に触れていく。

 「蛇になる女」の系譜、変容、受容の歴史がとてもわかりやすく整理され語られているのだが、あとがきに書かれた『恋愛の狂った果実ほどに妖しい魔境はないのだから。』という言葉に何かがっかりする。蛇になるほど恋に狂った女に追われてみたいと・・・そういうことか。なんと気楽な。 




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