2011-01-08

美男の立身、ブ男の逆襲 : 大塚ひかり

『美男の立身、ブ男の逆襲』 大塚ひかり

 「男の美醜」の問題に焦点を当てて日本文学を読み、その時代背景・思想を読み解く。歴史の中での男の持つ美しさの価値の変遷、仏教思想と美醜の問題、美男の限界、ブ男が秘めるパワー、美男の悪人「色悪」の生まれる背景・・・など等。

 美しい姿形でもって女性を魅了し、彼女らのもつ神通力や財力・政治力を我が物としていた神代の英雄や平安貴族。自らの美しさを武器に女装して(女性としての力を得て)戦うヤマトタケル。個性の一つであった人の美醜を「善悪」の価値観に結び付けてしまった仏教の功罪。むくつけき武力の時代の前に、平家の公達の美の敗北が涙を誘う「平家物語」。中世の美少年といえば避けて通れぬ男色の道。才覚のあるブ男が天下を取る時代を経て、俊徳丸に安珍・清姫・・・美男受難の日々がくる。「色男 金と力はなかりけり」・・・いいことのなかった美男がついにキレて「色悪」の誕生?!・・・と、雑学的興味を刺激する数々のネタと見解が次々と展開される。

 語り口は、ひとつのテーマを深く掘り下げるというより、とりあえず面白い・興味深いと思う対象にひっかかる度に何か一言書かずにはいられない・・・といった具合で、雑学的な興味を満たしてくれるという点では楽しいのだが、読んでいて今どこに論点があるのか解らなくなったりもする。

 素材となる原典からのテクストの紹介、その他文献からの引用や孫引きによって占められる分量がかなりあり、そういう点でもの足りなさはあるが、日本文学史を眺める上で面白い視点を与えてくれていると思う。

 こういう視点でもって自ら改めて文学にあたってみると、また穿った楽しみ方ができるのかもしれない。




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genre : 本・雑誌

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穿った楽しみ方か持論の押しつけか

なんてキツイ事を言う友人が居ますが、
穿った楽しみ方だと思った方が楽しいですね。

すべった大河の相乗りじゃないかと思われそうですが、
大塚さんが「女嫌いの平家物語」を出版されました。
安心して読めましたし、納得の出来で、おもしろかったです。

そして、大塚さんが歴史や伝統に対する執念(とあえて書いてますが)が
不思議だったんですが、さすがネット。
探したらこういう事かと・・・。
http://www.birthday-energy.co.jp
もともとそっちに目が向く宿命で、他の方向に目が
行かないそうです。
おもしろい特徴を持った方みたいですね。

こんにちは

「女嫌いの平家物語」興味深いですね。

「平家物語」を読んだ時、“男女の関係よりも男同士の関係を語る描写の方ばかりがアツいなぁ”と思ったのです。

大塚氏の人物像についての分析(占い?) は、何かスゴかったです。こういうものがあるのですねぇ。
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